参加者の声

長期・短期ボランティアや研修に参加されたみなさまの声をお届けします。

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2020.02.25

大切なのは、自分がどうなりたいのか意識をもって経験を重ねること。

▼活動地での研修内容・経験したことを教えてください。

長崎県 対馬
整形外科・眼科混合病棟で、主に術前術後の看護、創傷処置などに関わっていました。先生方もほかの大学病院などから派遣されてきた方が多く、派遣されてきた者同士で飲み会に誘っていただいたりと、多職種の方と話す機会が多かったように思います。また、感染症について、抗生剤の選択について、手術看護についてなど研修会を開いてくださる先生や先輩看護師がおり、学ぶ機会を得ることができました。

また、へき地医療ということで、対馬病院から遠い地域にある巡回診療所に同行して、地域の方々に対馬での暮らし・文化や、医療に対する想いなどを知ることができ、僻地離島ならではの課題を知るきっかけになりました。

長年、診療所の看護師をしておられる先輩が、どれだけ患者さんの家族関係や病状を把握しておられるかというところも、勉強になりました。対馬病院にいると300床の病院なので、僻地というイメージとは少し異なっていますが、積極的に地域に出ていくことで学ぶことは多いです。島外の人を歓迎してくださる温かい島民が多く、郷土料理を食べさせてくれたり、話しかけてきてくださったり、地域の中では居心地の良さも感じられました。

カンボジア
AAMCでは主に手術ミッションの際にどの程度の器具やガーゼ、挿管器具、薬品などが必要になるのかといった準備のマネジメントから、もちろん術中の看護(直接・間接介助)、術後の注意事項について疾病・状態に応じた確認事項や病棟スタッフに伝えるポイントなど多岐にわたって経験ができました。病棟業務では術後の抗生剤の選択、輸液管理、創傷処置に選ぶドレッシングやケア方法の選択、退院時期の見極めなどを行いました。

一人の患者を受け持つことで、継続的なケアに大変な思いもしましたが、それに伴って責任を持ってケアを行うことができたため、やりがいにつながりました。日本では医師に依存している知識も必要になってくるため、わからないことが多く、それが直接患者の不利益につながるため、必死に勉強をする毎日でした。それらの知識は直接日本で生かせないところもありますが、学ぶ姿勢やケアへの自信につながり、レジリエンスの向上に役立っていると感じます。

特に、一人っ子(カンボジアの地方病院に単身で派遣される)の時、言葉も文化もまったく異なる環境で、自分にできる事を模索していく中で、自身の看護観を見つめなおすきっかけになり、たいていの環境で自分はやっていけるだろうという、メンタルの強さにもつながりました(笑)

▼ジャパンハートの研修に参加を決めた理由を教えてください。

もともと国際医療に興味があり、大学時代からカンボジアの孤児院に健康診断や運動会、衛生教育などの企画をするサークルに参加したりしていましたが、自分がやりたいこと、発展途上国に対し、看護師としてどのような立ち位置で活動をしたいのか、明確にするために参加をしました。

▼参加までのハードルや解決すべき課題など

参加費が高いので、そこが一番のハードルでした。家族はもともと私が海外医療に興味を持っていることを知っていたので、あまり反対はされませんでした。

▼言語・価値観・が違う現地の方々、また駐在している日本の医療者との活動で困ったこと、また工夫などありましたら教えてください。

私たちの時は駐在している長期スタッフが厳しい人であったため、関わり方に悩むこともありましたが、勤務外の時間に共用スペースで話す機会があったり、相手の思いを知ることで消化できた部分はあると思います。
現地の方々はフレンドリーな方が多く、簡単な英語や、クメール語でコミュニケーションをとったり、明るい彼らに励まされることも多くありました。

▼現地で医療をする楽しみ、醍醐味はなんですか?

日本では医師が担うようなところまで看護師が担うことが多く、自分のケアが直接、患者の状態につながっていくことで、責任感とともにやりがいを感じることができました。また、現地でのすべての経験が、自信につながると思います。

▼活動地での忘れられないエピソードがあれば教えてください。

腕の傷を治すためにカンボジアの伝統的な治療を行った結果、感染を起こして蜂窩織炎となり、それが悪化したのか、上皮がスイスチーズのように穴だらけになり、はたして治るのか…と思っていた傷が、仲間と協力しながら毎日ケアと疼痛コントロールを行うことで2か月ほどで良くなり、退院できたとき。また、患者さんにとても喜んでもらえたし、信頼関係が築けたと実感できたこと。

▼帰国後はどのような活動をされていますか?

帰国後の進路については、参加前には特に考えていませんでした。
 対馬にいたとき、偶然知り合った診療所の先生が、対馬の医療統括官をされている方で、対馬市役所が募集をしている島おこし協働隊のコミュニティナースとして活動をしないかという話をいただきました。もともと、地域看護に興味があり、保健師とも訪問看護師とも違う、地域の中で住民の一番近くにいる看護師、というコミュニティナースの仕事に興味を持ち、海外研修中にも自身の看護観を見つめなおしていた中で、挑戦してみよう、と帰国後は対馬に戻りました。
 島おこし協働隊は1年で退任し、現在は老健の看護師をしながら「暮らしの保健室」をモデルとした地域のサロンを開き、島のコミュニティナースとして活動を続けています。

▼今後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします。

やはりかなりお金もかかりますし、自分の時間をつかってすることなので、研修後に自分がどうなっていたいのか、研修を行うことで自分がどうありたいのか、しっかり意識をもって、受動的ではなく能動的に動く姿勢を持っていた方が良いと思います。それによって、研修での経験がかなり違ってくるのではないかと思いました。

立野 真未様(看護師7年目)