看護師
2023.10.12
カンボジアのオペ室より
カンボジアに来て早くも1ヶ月が経ちました。
この1ヶ月、日本では経験できない初めてのことばかりで目まぐるしい日々でした。
早かったような、長かったような。
私は7月末まで新庄の外科病棟で国内研修をしていたのですが、それまでは内科病棟で4年間働いており、外科の知識は少なく、ましてやオペ室での勤務は初めてでした。
慣れない海外での生活、初めてのことでいっぱいのオペ室、そして今オペ室に日本人は私1人だけなので英語でカンボジア人スタッフに業務について教わっています。
最初はクメール語で話すカンボジア人の中に1人ぽつんと飛び込んでしまったような孤独感と不安がありましたが、今では英語でのコミュニケーションに慣れてきて、業務のことだけでなくクメール語や日常生活についても聞けるくらい、少しずつ距離が近づいてきています。
1ヶ月経ってオペ室に慣れてきた今、最初は教わるばかりだった私ですが「もっとここをこうしたらよりよい医療が提供できるのに」「患者さんのためにはこれは変えたほうがいいのでは」など少し違った視点が生まれてきました。
教えてもらっている立場で業務に口出しするのは申し訳ない、オペ室の新人ナースとして見られている以上私の意見なんて聞いてくれないんじゃないか。でも患者さんのためには伝えたほうがいい…いろんな葛藤があり悶々と考える日々。
自分の気持ちを整理するために、自分の中でもやもやすることとそう感じる理由などを紙に書き起こしたり、3ヶ月間という短いオペ室勤務期間で何に優先して取り組むか計画を立ててみたり。
そうして立てた計画も、いざ行動に移してみると思うようにいかず、本当に伝えたかったことが相手に伝わらずに誤解されてしまったり理解してもらえなかったり。
日々トライアンドエラーを繰り返しながら、それでも諦めずに現地スタッフとのコミュニケーションに向き合っています。
また、相手に意見を伝えるときはまず自分の考えを見つめ直し、事実を裏付けるエビデンスなどを調べて説得力を持たせ、深堀りしてから伝えることが重要です。
相手に自分の考えを理解してもらうため、よりわかりやすい英単語を調べたり、しっかりとした根拠を調べ直したり、相手に伝えるまでのインプット~アウトプットの過程で私自身学ぶこともたくさんあります。
オペ室に入って技術や知識を学ぶことは日本にいてもできますが、こうして慣れない土地で慣れない言葉で話し、相手の文化や価値観に触れながらコミュニケーションを取ること、伝わらないからと諦めずにしっかりと相手に向き合うことは、ここへ来たからこそできたことであり、自分自身の思考のくせやものの見方を見つめ直し成長する貴重なきっかけにもなると思います。
まだ1ヶ月、もう1ヶ月。
日々の気づきや学びを拾い集めながら、目の前のことに一つひとつ向き合い、カンボジア人と協働してよりよい手術看護ができるよう頑張っていきます。
61期 M.H