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アジア開発途上国、日本の離島・へき地で活躍するメディカルチームの
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看護師

2024.07.09

カンボジア2回目のひとりっ子活動 @クロッチュマー病院 ~前編~

5月17日から6月17日まで1カ月間、2回目のひとりっ子活動としてクロッチュマー病院へ行ってきました。
前回ここへ来たのは2月から3月にかけて。
2カ月ぶりの再会でしたがみんな温かく迎えてくれました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

私がまたここへ来ようと思ったのには理由があります。
ひとつはクロッチュマー病院に来る患者さんが一人でも多く救われてほしいこと。

もうひとつはスタッフが看護の楽しさややりがいを見つけ、看護技術の獲得だけでなく思いやりのある看護を提供できるようになってほしいこと。
そうすればこの病院はもっとよくなる、クロッチュマー病院の変化や成長を長い目で見ていきたいと思ったからです。

ジャパンハートの理念は「医療の届かないところに医療を届ける」です。

カンボジアでは医療者が不足していることは皆様ご存知かと思いますが、特に農村部の病院では顕著に医師や医療スタッフが不足しており、教える人も少ないのでお互いの経験をシェアしてなんとか手術をしたり処置をしたりしています。

一見危なっかしい手技に見えても、裏にはそういった背景があります。
この病院のスタッフはちゃんとした方法でないから危ない、で終わらせるのではなく、そうなった背景を知り、そこから私に何がサポートできるか考えていくことが大切だと思いました。

カンボジアでは未だに自国の医療が信頼されておらず、お金がある人はプノンペンの大きい病院やタイやベトナムの病院に行くことがあると聞きます。
しかしお金が無く貧しい人は病院を選ぶことはできず、その人のファーストチョイスがこのクロッチュマー病院だったり、他の農村部の病院だったりするかもしれない。

私たち日本から来た看護師がジャパンハートの病院で働くだけでなく、ひとりっ子活動として農村部の病院に介入する意義はここにあると考えています。
この病院のスタッフと一緒に患者さんのケアをしたり、勉強会やトレーニングをすることで、少しでも現地スタッフの看護がより良いものとなり、結果的に一人でも多くの患者さんを救うことに繋がればいいなと思います。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

今回またクロッチュマー病院に介入することになり、いろんな課題やニーズがある中でどこから手を付けようかと考え、モバイルミッションメンバーや他スタッフと作戦会議を重ねました。

その結果、カンボジア人スタッフが興味を持ちやすい、かつ救命に直結するBLS(胸骨圧迫や人工呼吸を含む一次救命処置のこと)についてレクチャーをすることにしました。
現地スタッフは少しの英語は話せるものの、長く英語に触れていないスタッフが多いため、ジャパンハートのクマエスタッフが1日だけ現地に赴き、私の英語をクメール語に翻訳してもらいながら一緒にBLSレクチャーを行いました。

レクチャーの最後にはミニテストを組み込み、インプットだけでなくアウトプットの機械も作ったり、1日の中で3チームに時間帯を分けて実技トレーニングを行い、それをさらに3ブースに分けてそれぞれジャパンハートスタッフがつき指導をしたり、より確実に知識と技術を習得してもらえるようにと工夫をしました。

レクチャーが終わった後、クロッチュマー病院の院長から感謝の言葉と今後もぜひ来てくださいとのお言葉をいただき、院外活動では初めての取り組みでしたが温かく受け入れてもらえたようでほっと一安心しました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

BLSレクチャーが終わり、再び私1人となりましたが、レクチャーをやりっぱなしでは知識と技術は定着しないと考え、追加で練習日とテストの日を設けました。
また、認定書を準備したほうがみんなのモチベーションが上がり参加率が上がるのでは、と現地ドクターから助言があったため、テスト合格者には名札に入るサイズの認定書を準備しました。

今回の私のテーマは、「誰1人置いてけぼりにしないこと」。

いくらこちらが勉強会を準備したとしても相手が着いて来れなかったり、こちらから押し付ける形になってしまってはいけない。
BLSのレクチャーに来れなかった人のために、実際に救急病棟のスペースを借りてレクチャーを再度実施したり、テストに合格できなかった人のためにスキルチェックシートを用いてフィードバックを行い、何をどう改善すればいいのか明確に伝えてアドバイスしたり。

参加してくれた37人全員が合格するまで根気強くこちらから働きかけました。
最後には全員に認定書を渡すことができ、少しずつ上達する姿も見れてよかったです。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

~後編へ続く~

61期看護師 久島萌美

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