コメディカル
2025.01.06
臨床検査技活動報告㉓ 臨床検査技師の役割 ~検査室技師と臨床検査技師との違いについて~
▼はじめに
「ジャパンハートこども医療センター」の活動を始めて1年が経とうとしていますが、これまでの自身の活動を振り返ると日本では経験できないような臨床をより身近に感じる活動であったと思います。
日本では総合病院に勤めていたこともあり臨床検査の業務も細分化され担当ごとに専門性が要求される傍ら、日当直という緊急検査にも対応できる知識が要求されていました。
俗に言うスペシャリストかジェネラリストかという課題に直面し悩みながら日々の業務を行っていたように思います。
今回ここで感じた臨床検査技師の役割について考えてみましたので記します。
▼理想の役割とは
検査技師は「臨床検査技師」という国家資格を有すれば法律に基づいて制限の範囲内で臨床検査業務が行えます。
総合病院における臨床検査室はブラックスボックス化と呼ばれる他者から見えにくい状況で業務が行われていることが多いように思われ、そのような環境で本来の業務であるデータを提供するだけの技師を検査室技師と個人的には称しています(あくまでも私見です)。
それでは臨床検査技師のあるべき姿はどうかと考えるとデータを提供するのは同じですが、さらにデータから読み取れる病態を考え臨床検査室から飛び出し臨床医とデスカッションできることが臨床検査技師の本来の姿と思っています。
(あくまで総合病院に勤めたことでそのように思うのであって、精度管理の行き届いたデータを提供するために日夜努力されている方、臨床検査発展のため研究に勤しんでいらっしゃる方、そして技師教育に携わる多くの方も立派な臨床検査技師と思います。)
日本での病院では微生物検査を主に専門とし検査結果についての解釈や珍しい症例については文献とともに紹介するなど臨床医との接点は多くあり、またチーム医療にも積極的に参加し他部門との交流のなかで病院内での存在価値をアピールしたように思います。
現病院では検査室はオープンな環境にあり、少ない検査項目ながら業務を検査技師が行うことでデータの信頼性が以前に比べよりアップしていると思いますが、ただデータを提供するだけでは先に書いた検査室技師と変わりありません。
私は従来の検査項目に比べ、細菌検査、超音波検査、血液検査と業務拡大し現病院での検査業務は一通りカバーできるので医師からのオーダーに対し、特に業務拡大した項目については報告の際できるだけ直接担当医と話をすることで、自身の結果の評価と知識の広さや深さの程度を把握することができ現病院での貢献の有無を感じ取っています。
▼終わりに
私は日本での在職中、県及び支部レベルのとある学術部門の長を何年か務め研修会等で座長を多くさせていただきました。
その際、最後のまとめの言葉として私見である検査室技師にならないよう努めてくださいと参加者に対して言葉を述べてきました。その思いは今も変わらず自身への心構えとして残りの期間も継続できるよう心掛けたいと思います。
ジャパンハートこども医療センター
臨床検査技師
森 三郎