2025.01.14
看護の魅力に改めて触れた日々
▼ジャパンハートでの活動地(国内・海外)を教えて下さい
国内:山形新庄、能登(能登半島地震 緊急救援活動)
海外:カンボジア、ラオス
▼ジャパンハートでの活動期間
2023年4月~2024年12月
▼活動内容を教えてください
■ 国内(6カ月)
・新庄徳洲会病院
外科病棟での看護業務(のちに外科・内科病棟が統合)
看護師確保のためのSNSを使った病院・新庄PR活動
・能登(2024/1/9~1週間)
松波小学校(5日間)、鵜川小学校の避難所(2日間)における緊急救援活動
■ 海外(1年)
・カンボジア
ジャパンハートこども医療センターの手術室業務、成人病棟での看護業務
チャムカルー病院での手術活動(手術室担当)
ポンネルー病院でのひとりっ子活動 ※現地病院に駐在し患者ケアを行うこと
教育活動
救急チーム活動
・ラオス
甲状腺手術活動での手術室担当、術後居残りでの患者ケア
2024年10月からカンボジアからラオスへ異動。
11月甲状腺手術活動でのメディカルリーダーと手術室業務
術後居残りでの患者ケア担当
2024年8月にベトナムで開催された「8th Annual Pacific Conference o Early Mobilization and Rehabilitation In ICU」にスピーカーとして参加する機会もいただきました。
▼ジャパンハートの活動に参加を決めた理由を教えてください
私は看護師になって現在18年目になります。
看護師は病院勤務が当たり前と思っていた中で、色々なご縁にも恵まれ、海外で勤務されていたり、講演活動などをされている看護師との出会いがあり、看護師として活動する場は「日本」や「病院」に縛られるものではなく、色々な選択肢があることを実感していました。
集中治療や救急領域で長く経験を積み、その分野でのやりがいや魅力も感じる中で、今後も看護にかかわった人生を送っていくために、自分ができることや本当にやりたいこと、課題と向き合う時間を持ちたいと思いました。
その時、昔から意識していた(両親からの影響が大きいですが)、「僻地医療」「発展途上国での医療活動」を一つのコースのなかで経験できるジャパンハートの取り組みを知り、参加しようと思いました。
▼参加までのハードルや、解決するべき課題など(仕事・お金・家族の説得など)
経験年数が長かった分、費用についてはあまり大きなハードルにはなりませんでした。
活動終了後にどうなっているか想像はつかなかったので、ゆっくり考える時間的な余裕を持つためにも、貯蓄はある程度あった方がいいと思います。
家族も「自分で決めたこと」を大切にしてくれたので、心配はあっても反対はありませんでした。
人員不足が深刻な職場だったので申し訳ない気持ちはありましたが、応募を決めた時点で上司には相談し、参加が決まってからは残りの期間で自分ができることは何かを以前より深く考え、周囲のスタッフとも相談しながらより積極的に業務に取り組みました。
結局、ハードルをあげたらきりがなく、そこに仕事や家族を持ち込むと言い訳をしているようで、最終的に「行く」と自分の中で腹をくくれるかが一番のハードルだと思います。
▼言語・価値観が違う現地の方々、また駐在している日本の医療者との活動で困ったこと、また工夫などありましたら教えて下さい
ローカルスタッフとの関りは、自分の中に前提として「そもそも全然違う」という意識があり、違いや理解しがたいことがあっても「当たり前」と思っていました。
逆に日本人スタッフに対しては、「同じ日本で看護を学んでいるのに、なんで」という思いを強く持つこともあり、一緒に何かをやったりすることに苦しさや難しさを感じることも多かったように思います。
それぞれ目的をもってジャパンハートに参加をしている分、なれ合いではなく、切磋琢磨できる関係でいたいと思っていても、自分自身が周囲と自分を比較する癖が強かったので、落ち込んだり焦ったり、壁を作ったりしてしまったことも多々ありました。
最終的にローカルとの関りもそうですが、それぞれの違いを楽しんだり、新しい発見を喜んだり、自分にできない部分は頼ったりできるようになると気持ちも楽になり、自分がここに来た目的である「看護」に集中できるようになってきたように思います。
そのためにも活動レポートを書いたり、時には人に話しながら、とことん考え向き合うことは意識しました。
▼現地で医療をする楽しみ、醍醐味はなんですか?
違いが多いからこそ、新しい視点を得られること。
また、違いを意識するからこそ、今まで当たり前にやっていたことに疑問を持ったり、どうして違いが生まれるのか、相手の思いや経験、自分の思考により興味を持って向き合う時間が増えること。
▼活動地での忘れられないエピソードがあれば教えてください
たくさんあって絞ることが難しいですが、国内・海外すべての時間から、看護師になってよかったなと思えることばかりです。
▼帰国後はどのような活動をされますか?(される予定ですか?)
活動中にラオスオフィスのスタッフとして、今後もジャパンハートでの活動を継続していくことを決めました。
主に甲状腺治療の技術移転プロジェクトを担当していきます。
▼今後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします
どんな経験もそこでしか経験できないことなので、ジャパンハートに参加することでしか経験できないことが、他の場所での経験に勝るものかは人それぞれかなと思います。
しかし、自分のキャリアや限られた時間の使い方の一つの選択肢にジャパンハートに参加することが少しでもあがっているのなら、一回、本気でその選択をしたときのことを考えてみてもいいのではと思います。
行かなかった場合の自分がどうなっていたかなんて分かりませんが、行く選択をした自分に感謝できる今があります。
つらいと感じることの方が多かったですし、成長を感じつつも課題の方が多く残っていますが、だからこそこれで終わりではなく、次に繋がる経験になったと感じています。
私も次に向けて、また頑張っていきたいと思います。
看護師
関山 弘子