VOICE
【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】やっぱり人は一人じゃ生きていけないよ ~能登半島地震から1年以上が経ち、今必要とされるものとは~
周囲の人が居たから、支え合って今日に至った。これだけは言える。
やっぱり人は一人じゃ生きて行けないよ。
他者に対し、深い感謝の気持ちを言葉にしている姿を目の当たりにしました。
被災者向け応急仮設住宅の供与期間は、原則として2年の制限があります。
今回のおしゃべり喫茶は応急仮設住宅の1年が経過しようとする中での開催となりました。
仮設住宅で暮らす方、修繕が進まずに壊れてしまった家に住む方など、今後は住まいをどうしたらいいだろうか。
考えると眠れない。
解体や片付け、仕事がたくさんある中で過労で倒れてしまった。
最近、不整脈を指摘され不安だった。
何とかやっていたが突然倒れて意識を失い、気付いたら入院していたことがある。
被災前は住んでた家の近所をよく散歩していたけど、今はすっかり歩かなくなってしまった。
一人では何もする気持ちになれない等、さまざまな問題が混在し、不安を口にする方を多く見受けました。
行政や地域の保健師さんたちは、生活再建や健康維持にも焦点を当て、支援しているそうです。
しかし、そうした支援者も地域で被災した方々です。周囲の方と同じような問題を抱えながら支援を続けてきているため、疲弊してしまうことが考えられます。
地域の方と、その支援者をさらに後方から支援するかたちで関わりが持てないか。
地域でマンパワー不足になっている部分は何か。
医療支援団体としてのジャパンハートにできることを中期から長期に渡り、行政や保健師さんと連携して活動しています。
新たな課題は何か、高齢者の定期受診や毎日の内服はどうか。
認知症が進んでいないか。
孤立や災害関連死につながらないよう、地域の保健師さんと事前にコミュニケーションを図った上でお話しさせていただく場面もありました。
血圧測定や健康相談を行い、時には同行した仲間の医師や薬剤師、理学療法士、看護師とで専門性をもって、個人に寄り添ったお話しも可能となりました。
おしゃべり喫茶と題した初回の開催から半年以上経ち、私自身2回目の参加でした。
能登半島地震の後、能登の方々の現状を一度知ってしまったら忘れることが出来ず、仕事に追われる日常を過ごしながらも、もう少し何か関わりたいと、再度おしゃべり喫茶に参加させていただきました。
昨年の6月と、そして、年を越し桜が咲く今回も、能登の人々は温かく受け入れてくださいました。
前回は地元の高校生たちが思い思いに手紙を書いて、集まっている方々に配ってくれたり、練習帰りの野球少年が礼儀正しい挨拶をしてくれ元気をもらったり、おしゃべり喫茶に野菜や手料理を持ってきてくれたりと様々な交流がありました。
そして、今回も貴重なお話しをしてくれる方、私たちにアドバイスしてくれる方、スタッフに会いに来てくれる方の元気なお顔を一目見るだけでも、嬉しく、とても温かい気持ちになれました。
以前、ジャパンハートのスタッフから教わった「能登は優しや土までも」という言葉は、能登の自然や人々の温かい共生関係を表しているのだとわかりました。
おしゃべり喫茶や訪問など、その場で見聞きしたことを自分事として捉え、必要なかたちに繋げていけたら良いと感じ、このレポートを作成しました。
「やっぱり人は一人じゃ生きていけないよ。」
冒頭の言葉です。
だから、人を大切にしていきたい。人は人に集まり、次へ繋げる力になると思います。
iER ボランティア看護師 竹田ひとみ