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【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】9月おしゃべり喫茶活動レポート
私は普段、看護師として長崎県の対馬という離島で勤務しています。対馬病院はジャパンハートと災害支援スキームを結んでいるということもあり、私が対馬病院で働くことを希望した理由のひとつです。 災害支援への興味はあるけれど何から始めていいかわからない、災害現場での経験はないし看護師としてもまだまだ未熟な自分が行って何ができるかもわからない。そんな私でしたが、iER研修を経て、まずは現場経験をしてみよう、手の届く範囲からチャレンジを積み重ねていこう。そう思い、今回初めて活動へ参加しました。
能登半島での活動は中長期支援のフェーズであり、私はおしゃべり喫茶の運営と仮設住宅への訪問に参加させていただきました。私にとっては初めての、実際に肌で感じる被災地。まだここまで復旧してないのか、というのが正直な感想でした。街のシンボルである總持寺の入り口はいまだに灯籠が割れて倒れており、町の建物にはひび割れが残っています。駐車場にも隆起がありありと見てとれる。iER研修での知識やメディアの報道で知っていたことはあるものの、これが自分の故郷だったらと思うと胸の詰まる思いがしました。

おしゃべり喫茶には、仮設住宅に住む人だけでなく在宅避難者の来場もあります。顔見知り同士であることも多く、その地域でのコミュニティが少なからず構築されてきているように感じました。仮説住宅での暮らしの中で、家に生活していたときのようにお庭を作ったり自然との関わりを楽しんだりしておられる方や、ご近所の人も一緒にそれを日々の楽しみにしている様子もありました。その中には、新しく家を建て直し入居を待つ人がいる一方、生き甲斐であった田畑にいまだ土砂が積まれ家屋のライフラインが整わない人もおられます。震災から1年9ヶ月が過ぎた今、そうした復興格差が課題となっています。iERとしても被災地域全体への関わりから、個別のニーズに対し保健師さんや他団体と連携し継続的に支援していくフェーズに入っています。また今後、震災を起因とした健康問題が懸念されており、今回のおしゃべり喫茶来場者の皆さんには血圧測定をしていただきました。体調面のスクリーニングとともに、みなさんの会話のきっかけにもなり自然と普段の生活の様子やそれぞれ気にかけていることをお話しでき、健康問題への関心の高さを感じました。ある地域では仲良しの方々で散歩するのが日課になっているともお聞きし、出来上がったコミュニティがその地域の強みとなっていました。

普段は病院で看護師として人と関わることが多い自分には、被災地において外部からの支援者であるという立場も新鮮で、かつ難しいものでした。今回の活動期間中、輪島のみなさんに何度もありがとうと言われたのが印象的です。外から来た私をあたたかく迎えてくださることがありがたいと共に、被支援者からみた支援者側の立場の強さも感じました。様々な地域外からの支援が入る中で、非支援者側からはそれに付随する負担や要求などは言い出しにくい。少しずつ支援の撤退が見えてきた今、その地域が自立していけるよう関わっていくことの必要性、それに伴うタイミングや距離感の難しさがありました。復興といっても元通りそのままの暮らしに戻れるわけではない。ではどうなったら復興なのか?どこまでが支援のゴールなのか?ジャパンハートは発災直後から長期間に渡り被災地に関わっているからこそ、地域の人たちとの関係が構築されている団体であり活動に法的範囲や規程がないからこそ、被災地に寄り添って「今は何が必要か、どうなっていったらよいか」をともに考えていける。様々な団体からの支援がある中で、ジャパンハートの災害支援に関わる意義はそこにあると感じました。

活動に向かう前は緊張があったものの、過ぎてみれば本当にあっというまの活動期間でした。帰ってきた今、短い時間の中でお会いできた輪島のみなさんの顔が浮かびます。みなさんが少しでも心身ともに穏やかに暮らしをおくれるよう願ってやみません。そして私自身、いつでもどこでも起こりうる災害に対し今後も少しでも何か出来るよう、逞しくなりたいと実感を持って強く感じられたことが、今回の財産だと思います。
佐々木瑞穂
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