VOICE

【はじめに】
2025年10月に子ども支援スタッフとして着任した福山です。
子ども支援スタッフは、長期ボランティアの中でも新しいポジションであり、入院中の子どもたちの療養体験をより良くすることを目的としています。
これまで約8年間、学習塾講師として子どもたちと向き合ってきた経験を活かせるのではないかと思い、参加を決めました。医療の現場で働くのは、今回が初めてです。
これまでの参加者の声は医療従事者の方のものがほとんどなので、今回は非医療者として感じたことを中心に書き記したいと思います。

非医療者から見たジャパンハート子ども医療センター
▲仲良く絵本を読む子どもたち

【子どもたちの笑顔と涙】
小児がん病棟に入院している子どもたちは、人懐っこく明るい子が多く、初日から私の手に素敵な絵を描いてくれる子もいました。
非医療者から見たジャパンハート子ども医療センター
これまで日本人ボランティア・インターンの皆さんや、同じ制服を着たクメール人スタッフの皆さんが時間をかけて築いてきた信頼関係のおかげで、私にも心を開こうとしてくれたのだと思います。
病室から遊びに出てこられるほど体調の良い子は笑顔で元気に接してくれますが、化学療法のあとなどで体調が優れない子や、採血・輸血などの処置を受ける子たちはまた違った表情を見せます。
特に印象に残っているのは、処置中に聞こえてくる泣き声です。学齢期の子や慣れている子は静かに受けていますが、1〜4歳くらいの子どもたちはほとんどが涙を流します。
これまでにもボランティアやプライベートで乳幼児と関わる機会はありましたが、そのときに聞く泣き声は「寂しい」「甘えたい」といったものが中心でした。しかし、ここで聞く泣き声には、痛みや恐怖と向き合う叫びが混ざっており、耳にするたびに胸が痛みます。
子どもたちはそれほどの思いを抱えながら処置を乗り越え、医療者の皆さんはその声を一番近くで聞きながら、強い心を持ち最善を尽くしているのだと分かりました。
非医療者から見たジャパンハート子ども医療センター
▲夕方のミーティングを行う看護師と医師

【医療者という専門性】
私はもともと発展途上国で働きたいという思いがありましたが、どの分野で貢献したいかを決めきれず、学生時代は幅広く学べる文系の道を選びました。周囲にも同じような人が多くいました。
一方で、医療者の皆さんは医師・看護師・臨床検査技師など、それぞれが専門性を持って自分の持ち場を担っていて、その姿が私には新鮮に映りました。
また、医療という専門分野を極めながら、海外にも目を向け、語学や異文化理解にも取り組む姿勢には頭が下がる思いです。
子どもたちの療養支援を考えるうえでは、保育・教育・心理などの多面的な視点が必要になります。「何でも屋」だからこそできることを、これから少しずつ形作っていきたいと思います。

子ども支援スタッフ
福山 紗耶佳