VOICE

こんにちは。
私は去年までジャパンハートメディカルチームとしてカンボジアで1年間活動していた看護師で、今は鹿児島県の喜界島という離島で働いています。
そんな中OGとして新病院オープンのお手伝いのお誘いをいただき、10月31日から約2週間ほど、カンボジアで活動することとなりました。
新病院オープン~OG看護師として介入した2週間
日本では病院のマネジメントに関わったことはなく、ましてや新病院オープンに関わることは初めてでした。
私にできることはあるのだろうかと不安も抱えつつカンボジアに行くと、ジャパンハート医療センターで以前一緒に活動していた現地スタッフに出会い、懐かしさとともにとても心強く感じました。

▼ゼロから整える新病院の準備
10/31 新病院開院式の直後に現地へ到着しました。
病院の建物は概ね完成していましたが、手術室や一部の病棟はまだ工事を続けており、薬剤や物品など医療や入院生活に必要な物が何もない状態であったため、11/7の患者移動(ジャパンハート医療センターから新病院へ入院患者を移送)までに病院内部を整えられるよう、やることが山積みでした。
・・・新しく購入した薬剤や物品の在庫をひたすら数えて各病棟に振り分けたり、現地スタッフと話し合いながら物品の配置や必要な個数を考えたり。
実際にOGが患者役となって外来診療や入院の流れを確認したり、スムーズにいかなかったところはとことん話し合ったり・・・ 新病院オープン~OG看護師として介入した2週間

まだまだ工事の最中で、部屋の看板もついておらず医療機器も届いていないものがあり、最初はどこに何があるか、この部屋は何の部屋か把握するのに時間がかかりました。
そこで大きな病院で患者さんが迷わないよう、さっそく敷地内のマップや案内板を英語とクメール語で作成し配置。文字が読めない患者さんもいることを想定し、わかりやすいイラストもつけて工夫しました。

また、ジャパンハート医療センターでは紙カルテを使用していましたが、今回電子カルテを導入するということで、カンボジア人へのトレーニングのサポートも行いました。
日本とは全く違う電子カルテの仕組みに私も戸惑いつつも、いかにジャパンハートとしてアレンジしていくか、医師も看護師も試行錯誤する日々でした。

▼小児がんの子どもたち、新病院へ無事移送
11/7 ジャパンハート医療センターから小児がんの子どもたちが移動してきました。
車内急変や車酔いなどを想定しスタンバイしていましたが、バスから降りてきた子どもたちはとても元気で笑顔いっぱいで、その姿を見て今までの地道な努力が報われた気がしました。
新病院オープン~OG看護師として介入した2週間
新病院オープン~OG看護師として介入した2週間
到着してまずは子どもたちのバイタルサインを確認してそれぞれの新しい病室へ案内。
その傍ら、ジャパンハート医療センターから運ばれてきた薬剤や物品の仕分けをしました。

現在どのくらいの在庫があり、各病棟や外来で一患者あたりどれほど使用しているか、そのひとつひとつの薬剤はひとつあたり何円かかるのか。
日本でも看護師が使用した物品について入力することはありますが、ある程度大きな病院だと医療事務や専門職の方が物品管理から会計までやってくださっているため、こうして薬価やコストについて考える機会はとても新鮮でした。

特にジャパンハートの病院はドネーションで支えられていることと、カンボジアでは買えず日本から取り寄せている薬などもあるため、高コストをかけて使用頻度の低い薬を買うことのないよう、本当に小児患者に必要な薬は何か、必要なところに適切な物が配置されているか考えていくことが、長期的支援やより多くの子どもを救うことに繋がるのだと感じました。

▼外来診療スタート:一つひとつ課題を乗り越えて
11/10 外来診療を開始しました。最初は1日5〜10人ほどの患者さんが来られました。
実際に電子カルテを運用しながら患者さんを診療していく中で、患者さんの案内がスムーズにいかなかったり、電子カルテのトラブルが起きたり、採血の生化学の器械が期日までに届かなかったりと、さまざまな課題点が浮かび上がり、その度にディスカッションを重ねて。
ジャパンハート医療センターではこうしていたけどここではこうしたらどうかな、日本で働いていた病院ではこうしていたよ、などそれぞれの経験や知恵を共有し合って解決策を考えていきました。

▼全員で乗り切った初手術
11/13 初めての手術実施を予定していたものの、工事が長引いたため手術室に入れず準備が進められない状況でした。
なんとか一部屋だけでも完成させてもらえないかと交渉し、工事の音も響く中、前々日からダンボールを開けて必要な手術器具を取り出し準備を開始。
当日の朝まで準備に追われていましたがなんとか無事に手術は成功しました。
全スタッフが力を出し合い一致団結して、なんとか新病院でのスタートを切ることができました。

▼忙しい日々の中で生まれた“ひとときの音楽会”
帰国前にぜひ音楽イベントをやりませんかとお声がけいただき、小児がん病棟と中庭にてカンボジア人医師と2人でミニコンサートを開催させていただきました。
新病院初のイベントということでしたが、日々病気と闘う子どもたちに音楽と触れる機会をつくることができたと同時に、怒涛の日々の中で疲労が溜まっているスタッフたちにも少し癒しを届けることができ、とても嬉しく感じています。
新病院オープン~OG看護師として介入した2週間
どんなに忙しくても大変なことがあっても、子どもたちや家族、スタッフのためならやりたいことを尊重して後押ししてくれる、ジャパンハートはそんな温かい場所だなと再確認しました。
新病院オープン~OG看護師として介入した2週間
おそらく一生に一度の新病院立ち上げのタイミングにジャパンハートメンバーの一員として関わることができたことはとても貴重な経験でした。
今後もこの病院が子どもたちや家族を救っていけるよう心から願っています。
新病院オープン~OG看護師として介入した2週間

看護師
久島萌美