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臨床検査技師活動報告㊸ 院内スタッフ向けの臨床検査レクチャーを実施して
▶はじめに
これまで院内スタッフに対して院内感染防止対策調査(サーベイランス)の結果報告や心電図波形判読のレクチャーを実施しました。私のボランティア活動期間も残り少なくなり私にできるレクチャーは何かと考えた時に、ミャンマーで実施したレクチャーを院内スタッフにもできると考え今回その内容を院内スタッフ向けに行いましたので報告します。
▶レクチャー内容
2025年10月上旬、まず医師向けに私の専門である微生物検査とくにグラム染色(微生物検査の重要な検査項目の一つ)の有用性についてレクチャーしました。参加者は医師7名、看護師さん10数名の計20名程度が聴講してくれました。医師向けと言うことで看護師さんにとって普段接する機会の少ない検査項目でしたが興味ある看護師さんが参加してくれたことはたいへんうれしく感じました。内容は検査の意義、染色での見え方、具体的な菌名についてスライド約70枚にまとめてレクチャーしました。我々臨床検査技師にとって多く経験する菌名でも医師にとっては聞きなれない菌名もあり、菌の種類やその菌の特徴がわかるというグラム染色の有用性について学んでいただきました。

そしてその翌週には、主に看護師さん向けに全血球計測(CBC)データの読み方、特に貧血に関するデータの読み方についてレクチャーしました。CBCは毎日行われる身近な検査でありそのデータを読むことができれば患者さんの症状が把握でき、緊急な場合医師に患者さんの症状を説明できるたいへん重要な検査の一つです。今回の参加者は医師・看護師さん含め40数名のスタッフが私のレクチャーを聞いてくれました。内容はCBCデータを読む際の全体的なアプローチの方法から今回重点を置いた貧血に関するデータの読み方について症例を交えながら説明しました。レクチャーは少し難しい内容となりましたが日常遭遇する病態なので参加したスタッフが自主勉強のためのきっかけになればいいと思いました。

さらにその翌週には心電図波形の判読について以前見逃してはならない心筋梗塞波形についてレクチャーしましたが、今回は不整脈(モニター心電図)に関するレクチャーを行いました。今回病院内イベントと重なり15名程度の参加者でしたが熱心に私のレクチャーを聴講してくれました。不整脈の説明と実際の波形を動画で流しドクターコールやAED(自動体外式除細動器)が必要な不整脈について主に説明し臨床の現場に役立ててもらう狙いでレクチャーしました。
▶おわりに
今回3週に渡り院内スタッフ向けに臨床検査レクチャーを行いました。活動当初より終了までにスタッフ向け臨床検査レクチャーをずっと行いたいと切望していたので夢がかなってとても満足しています。ただ英語が不慣れなこともあり説明には苦労しましたが、そのおかげもあり英語に対する苦手意識はずいぶん減ったように思いました。
このレクチャー終了をもって私のこのボランティア活動の大きな目標は達成されました。残りの期間は新病院検査室立ち上げの協力とこれまでの現病院での実務の申送りが私の役割ですが、最後まで私の経験が役立てるよう努めたいと思います。

ジャパンハートこども医療センター
臨床検査技師 森 三郎
