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臨床検査技活動報告㊹ 約2年間の長期ボランティア活動を終えて
▶はじめに
2023年12月より始まったカンボジアにおける「ジャパンハートこども医療センター」でのボランティア活動を2025年11月下旬に終え帰国しました。カンボジアでの活動は日本での知識・経験を活かし自身が異国でできることはすべてやり切ったというたいへん満足のいく活動だったと考えています。このブログ(活動レポートを含めて)もこれが40本目とこつこつと積み上げた結果がここに集大成を迎えようとしています。
今回はこれまでのカンボジアでの活動を振り返り、今後国際医療ボランティア活動への参加を考えている方や若い臨床検査技師のみなさんへのエールを含めたメッセージをこのブログの最終とさせていただきます。

▶約2年間の活動実績
※ルーチン業務
・活動当初より前任者よりの申し送りを受け業務そのものは継続しましたが、自身の裁量で行われていなかったグラム染色スメア(細菌検査)及び末梢血・骨髄液スメア(血液検査)の鏡検報告を行い、超音波検査(エコー検査)についても心エコーの経験があったことから依頼に応じるなど臨床(医師)からの要望に対応し業務拡大を行いました。またこれまで行われていなかった検査機器の精度管理(データの信頼性を担保するための取組み)も行いました。
※院内活動
・院内レクチャーについて
1、職場同僚である男性カンボジア人検査技師に業務に関わる技術指導を行いました。こちらの病院に勤めるまで彼は約9年間の職場経験はあるようでしたが、病院勤務は初めてということでデータから患者背景を考えもし疑問があれば医師、看護師とディスカッションするようアドバイスを送りました。
2、院内スタッフ向けに臨床検査レクチャーを行いました。輸血前検査(クロスマッチ)、グラム染色、心電図判読、全血球計測(CBC)データ判読、そしてボランティア日本人循環器内科医師とともにカンボジア人医師に対して心エコーについての実技指導を行いました。
また隣接する公立病院検査室スタッフ7名のうち5名が当院検査室を訪れクロスマッチに関するスライド・動画レクチャー及びデモンストレーションを行いました。
3、院内感染防止対策チーム(ICT)について、日本で院内感染防止対策に関する資格を有していたことからICTに活動途中より参加させていただき、日本での経験を活かしミーティングで院内感染防止対策に関する具体的な提案やグッズ導入、そして手洗いに関する調査(サーベイランス)及び報告を院内スタッフ向けに行いました。
・新病院検査室立ち上げに関して検査新機種選定、検査室レイアウト及び実際の稼働時の協力を行いました。団体より相談あり自身で考えたコンセプトから新機種選定及び検査室見取り図が分かった時点でそれらの新機種配置を提案しました。2025年11月上旬新病院での診療スタート時点から2週間と短い期間でしたが、実際導入された電子カルテを使いながら新機種を用いての検査室スタートに協力しました。
・メディカルチーム医療者ブログ(活動レポートを含む)をイベントごとに記事とし団体ホームページに多数アップしてもらいました。
※院外活動
・自身の休日を利用し頻繁に隣接する公立病院検査室を訪問することで、個人的ではありますが他施設とのカンボジア人検査技師さんとの国際交流ができ、そのおかげで当院検査室の物品不足等が発生した際に物品等をお借りすることができるようになりました。
またプノンペン市内の民間検査センターや州立病院検査室を訪問する機会がありカンボジアにおける臨床検査レベルを垣間見ることができました。
・カンボジア以外にもミャンマーへ臨床検査レクチャーに赴くことができました。創設者の吉岡秀人先生に活動1年経った頃検査室の業務報告をした際、今後の目標に院内スタッフへのレクチャーを挙げるとミャンマースタッフへのレクチャー打診があり快諾し行かせてもらうことができました。ミャンマーへは2025年2月、6月、9月の3回、医師、看護師さん向けに臨床検査レクチャーを行いました。
その他、日常生活でも休日を利用した敷地内ゴミ拾いを行ったり、一時帰国の際、中学校・大学・病院を訪れ自身のボランティア活動を紹介したり、自身が所属する学会で学会発表を行いました。

▶おわりに
定年退職後いかに日本で培った知識と経験を活かし社会貢献しようかと考えていた際、国際医療NGOジャパンハートが長期ボランティアを募集していたことをたまたまネットで目にしたことから私の海外ボランティア活動は始まりました。当初より期間を2年間と決めて家族の了解を得ていましたので、何の迷いなく活動に参加することができました。家族には感謝の言葉しかありません。また渡航当初より長くお世話になったカンボジア在住の日本人及びカンボジアの院内スタッフのみなさんにも同じく感謝をお伝えしたいと思います。ありがとうございました。
私が約2年の活動の中で感じたことの一つは、よく言われる百聞は一見に如かずということです。日本にいるとカンボジアの情報はほとんど入手できませんが、この地に足を踏み入れ現実を目の当たりにすることで自身にできることが少しずつ見えてきて、長くいたおかげで実際のアクションにつながったように思います。
私は社会貢献を考えている検査技師さん向けにリタイア後も海外医療ボランティア活動の選択肢もあり実際活動できるというロールモデルになりたい思いと、また若い検査技師さんに国内だけでなく海外にも我々検査技師の需要がたくさんあることを知ってもらうためにこの活動に参加しました。このブログを読み共感いただける方や実際に夢を膨らませアクションを起こす方が一人でも多くいらっしゃることを祈念しています。
これまでの記事(ブログ)を拝読いただきありがとうございました。これを最後のお礼の言葉といたします。ありがとうございました。

臨床検査技師 森三郎
