VOICE
この活動がラオスで広まるためには・・・ (ラオス小児がんミッション活動レポート)

私は普段、カンボジアのジャパンハートアジア小児医療センターで手術室と外来で活動していますが、今回、ラオスでおこなわれる2回目の小児がんプロジェクトに参加させていただきました。

私は手術室看護師として、今回のプロジェクトを通し、これまで行われていなかった出血量のカウント、ガーゼ針カウント、そしてタイムアウトの導入をおこないました。
すべては体内遺残を防ぐため、手術室では傷が閉じる前に必ず、ガーゼや針糸、手術に使用したすべての器械や物品の数が揃っていることを確認します。これは手術室看護師の非常に重要な役割の一つです。
そして手術というのは、それに関わるすべての職種の人々で構成された一つのチームでおこなわれます。侵襲を伴う手術を安全に行うためには、すべてのメンバーが相互に連携し、一つの目標に向かって最良なコミュニケーションをとる必要があります。WHO手術安全チェックリスト(サインイン、タイムアウト、サインアウト)は、患者の安全を確保する上で確認すべき項目が入っており、患者の重要な情報をチーム内で顔を合わせて共有することで、チームパフォーマンスの向上にもつながります。

初対面のラオススタッフへ、信頼関係もまだ構築されていない中で、通訳を介しながらでの取り組みは、難しいところもあり、相手の表情や反応をみながら、一つ一つ丁寧におこなう必要がありました。日本人からの一方的な押し付けにならないか不安でしたが、デモンストレーションを実施した際は、慣れないことに対してもラオススタッフは楽しく笑いながら、良い雰囲気の中で行うことができました。チェックリストをラオ語に訳し、実際の手術でも実践してもらいました。
「日本ではどのように器械だしをおこなっているのか、見せてほしい」と言われ急遽、手術一件器械だしを私が実施しました。術前と閉創前に器械をカウントすること、針カウンターをスポンジで代用し、針糸の安全な管理方法など、一部ですが伝えることができました。ラオススタッフ側からこのような提案をされたこと自体が、素直に嬉しかったです。


ラオスの地方では、エコーができる病院がなかったり、小児がんの病理診断技術が進んでいないなど、様々な理由で、小児がんの患者を見つけることが困難な状況です。見つかったとしても、その時点ではもう手術は難しい状況で、緩和ケアへ移行する患者もいます。
またジャパンハートという名も、この小児がんプロジェクトも、未だラオスでは知名度は低いのが現状です。ジャパンハートでは小児がん「疑い」の時点で検査も無償で受けられるのですが、そのような情報も浸透しておらず、大きな病院にたどり着いたとしても、お金がないため諦めて帰っていく親もいるようです。
どこの国でも子どもを愛する親の気持ちは同じだと思います。治療技術だけでなく、どうやったらラオスで小児がんをできるだけ早期発見できるのか、そこの観点からも考える必要があることを強く感じました。

今回、腎臓の手術をした生後2カ月の子どもの親から、「この子の治療をするにはベトナムやタイや行く必要があるなどいろいろ言われ、途方に暮れていましたが、今回日本の皆さまに手術してもらえて本当に感謝しています。」というお言葉をいただきました。
カンボジアとはまた異なる社会や情勢、医療の現状の中で、私たちが直接介入できるのは年に2回のたった数日間という現実は、正直とても難しいと感じましたが、こういった患者や家族の言葉に報われながら、一歩ずつ進んでいけるといいなと思います。
今回ご参加いただいた九州大学の先生方を含め、熱意のある素晴らしいラオスプロジェクトメンバーの方々と活動できたことを、本当に感謝し、誇りに思います。そしてこのプロジェクトがより多くのラオスの人々に広がっていくことを願っています。

メディカルチーム看護師
西中凜々子
