VOICE

険しい道のりの先にある笑顔を守るために。ラオス小児がん支援の現場から
私は、ラオスで小児がんプロジェクトを担当している看護師の根釜宏平です。

現在、私たちはラオスの首都ビエンチャンにある「国立子ども病院」とパートナーシップを組み、小児固形がん治療の技術移転プロジェクトに取り組んでいます。

今年の2月と3月、私たちはラオス中部・南部の計4箇所の病院を訪問しました。現在、ラオス国内で小児がん治療ができるのは、私たちが活動する国立子ども病院のみです。今回の訪問の大きな目的は、地方の県病院において「早期発見・早期診断」ができる体制を整え、一日も早くビエンチャンでの治療につなげられるルートを築くことにありました。

【険しく、遠い、県病院への道のり】
険しい道のりの先にある笑顔を守るために。ラオス小児がん支援の現場から
県病院までの道のりは、想像以上に過酷なものでした。中部のシェンクワン県を訪れた際には、いくつもの山を越え、舗装の不十分な道路を長時間移動しました。大きく揺れる車内で、トラックとすれ違いながら、崖沿いの道を進む場面も少なくありませんでした。

その道中で、「患者さんやご家族も、この道を通ってビエンチャンまで来なければならないのか」と考えずにはいられませんでした。体調が優れない中での長距離移動は、どれほど大きな負担になるのだろうか――そうした思いが強く心に残りました。

また、道沿いに点在する村々の暮らしを肌で感じることで、彼らが置かれている環境の厳しさを改めて実感する機会となりました。

【私たちにできることは何か】
ラオスの人々の暮らしに触れる中で、物質的な豊かさとは異なる、心の豊かさを感じる場面が多くありました。だからこそ、この国の人々にとって本当に必要な支援とは何か、私たちは常に考えながら活動しています。

私は休日も積極的に外へ出かけ、現地の人々の生活や文化、伝統に触れるようにしています。交通アクセスの悪さや文化的背景など、多くの課題がある中で「せめて県病院に辿り着いた患者さんだけは、確実にビエンチャンでの治療につなげたい」。その一心で、今回の訪問を企画し、実施しました。

ラオスの人々と交流し、この国を深く知る中で、ラオスへの想いがより一層強まり、それが現在の活動の原動力になっていると感じています。

【患者さんとの再会を通して】
険しい道のりの先にある笑顔を守るために。ラオス小児がん支援の現場から
各県には、私たちがサポートしている患者さんが暮らしています。

今回、私たちが初めて支援したソンサイくんのご親族がかけてくれた言葉が、今も強く心に残っています。

「ソンサイは、私たちの子どもであり、子ども病院の子どもであり、そしてジャパンハートの子どもでもあるんだよ」この言葉には、多くの人々に支えられている命の重みが込められていると感じました。

自宅を訪問した際には、親族一同が「バーシー」と呼ばれる伝統的な儀式で温かく歓迎してくれました。

闘病中、ソンサイくんには離れて暮らすお姉ちゃんがいました。ラオスの入院生活は家族の付き添いが必須であるため、両親と離れて一年間、お姉ちゃんも寂しさに耐えながら頑張っていました。

現在は治療を終え、家族揃っての生活。お母さんにべったり甘えるお姉ちゃんの嬉しそうな顔を見て、胸が熱くなりました。家族や親戚の笑顔に触れ、救われるのは「一人の命」だけではなく、その先に続く「家族の未来」なのだと再確認させられた瞬間でした。
険しい道のりの先にある笑顔を守るために。ラオス小児がん支援の現場から
【医療の先にある「安心」を届ける】
ラオス南部からビエンチャンで治療を受けているある親子は、親戚もおらず、初めて訪れる土地での生活に大きな不安を抱えていました。そんな中、ラオス人スタッフが荷物を運び、生活の細かな説明をし、病院と宿舎を送迎する姿を目にしました。私たちが届けるべきは医療技術だけではありません。「私たちに出会えてよかった」と心から安心してもらえるような関わりを、これからも大切にしていきたいと感じました。
険しい道のりの先にある笑顔を守るために。ラオス小児がん支援の現場から
【最後に】
日々ラオスの人々の暮らしに触れ、文化や価値観を学び、多くの支えを受ける中で、私はこの国のことが心から好きになりました。
一人でも多くの子どもたちに適切な医療を届け、未来へとつながっていく社会を実現できるよう、これからも取り組んでいきたいと思います。
険しい道のりの先にある笑顔を守るために。ラオス小児がん支援の現場から

ジャパンハートラオス 
看護師 根釜宏平