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「海外で活動してみたい。
でも、その経験は将来のキャリアにどうつながるのだろうか。」
そう感じたことのある看護師の方もいるかもしれません

国内の離島医療、そしてカンボジアでの活動を経て、現在はERで勤務している松見看護師。
海外へ向かうにあたって、「不安」や「自信の無さ」がなかったわけではありません。

それでも、“今の自分にできる最大限の努力をした上で、困難なことに直面しても諦めずにやり続けていきたい”という気持ちを持って、渡航を決めました。
自分が未熟であることも、百も承知の上でした。

今回は、当時感じていた不安や葛藤、海外での経験、そして現在ERで働く中でその経験がどのようにつながっているのかについて、話を聞きました。
「海外に行くとキャリアは止まるのか?」—ER看護師として働く今につながっている、海外での臨床経験~
Q1.国際医療に関心を持ったきっかけを教えてください
もともと国際協力に関心があり、最初は国際学部のある4年制大学に進学しました。
ただ、実際にボランティア活動や海外に足を運ぶ中で、「技術や専門性がない自分では、これでは誰も救えない」と感じたことが、自分の中での大きな転機でした。そこで大学卒業後に、看護学校へ入り直しました。

実は、看護学校へ行くのも、離島や海外へ行くのも、ずっと家族に反対されてきました。
それでも道を選び続けてこられたのは、「誰かの望む通りに生きるのが私の人生ではない」と考えていたからだと思います。

Q2.実際に海外へ行ってみて、どんなことを感じましたか?
一番大きかったのは、「何もできない」という感覚でした。
環境も違いますし、求められる判断の重さも違う。
最初は戸惑うことの方が多かったです。

ただ、その中で少しずつ変わっていったのが、自分の考え方でした。
以前は、何かできない時や上手くいかない時に環境や誰かのせいにしてしまうこともありましたが、それでは何も進みません。
「じゃあ、自分は何ができるか」を考え続けるしかなくて、少しずつ行動が変わっていきました。

「何もできない」から諦める、投げ出すのではなくて、できていないところを自覚して逃げずに毎日コツコツそこに向き合い続けることをやめませんでした。

拙い英語も現地の言葉も、医学的知識や技術も、現地のスタッフや患者家族との信頼関係も小さなことから地道に積み上げることでしか築けない。そう理解して向き合い続けることを意識していきました。

ですが、正直それはとてもタフでめげそうになることも何度もありました。

Q3.その経験は、日本の現場でどう活きていますか?
今の職場でも日々思い通りや理想通りにいかないことはたくさんあります。

災害級の救急車搬入や人員不足やエラー、若手の教育など。また、予測を超えた事態も日々起こります。それは日本の現場でも海外の現場でも同じです。

ただ、そうした現場に対して、愚痴や不満ばかりもらして、他人事として関わるのではなくて、「自分事」として向き合えるようになったことに、海外での経験が活きていると感じています。

例えば、教育に関わる時も、どこか指示命令的な関わり方ではなくて、海外で現地スタッフと信頼関係を築きながら“共に考えて”問題解決をしていったように、今も“一緒に考えて”ステップアップするためにはどうしたらいいかと日々模索しています。

Q4.キャリアとして、不利になることはありませんでしたか?
不利になることはないと思います。
けれど、それを活かしていけるかどうかは自分次第だと思います。

限られた環境的資源(物品や設備)や人員の中、また自分自身の未熟さを抱えながらでも、柔軟に思考し、現場に適応して問題解決していく力は、非常に重要であると思いますし、どこでも活かしていけることだと思います。
それが強みになって、私の場合は今の職場にも繋がったのかもしれません。

また、今の職場に入ってから分かったことですが、訪日外国人の患者さんやご家族への対応などで、英語のスキルが役立っていると感じる場面もあります。
確かに、日本での臨床経験に「空白」を作ることに不安はつきものであるのは理解できます。けれど、それも自分自身が何を得て日本の現場に帰ってきたのかをちゃんと言葉と行動で示せたら十分価値になると思います。

Q5.最後に、今まさに迷っている方へ、伝えたいことはありますか?
もし本気でやりたい気持ちがあるのであれば、やればいいと思っています。
そしてやるかやらないか、できるかできないかは自分次第だと思います。
「やりたい気持ちがあるのに動かない状態」が続くのは、もったいないと思います。

日本での臨床経験を積んでから、
言語能力をつけてから、
家族の協力・理解を得られてから、
お金が貯まってから、
帰国後のことを整えてから、

など、そうやって「やらない・やれない理由」を探し続けて、タイミングを見定めていたとしても、その不安や自信の無さがいつか完全になくなり、“万全な状態”で渡航できる日が来るかというと、私は必ずしもそうではないと思っています。

実際、私自身も全部が不安で自信もないままでした。

だからこそ大事なのは、「今自分がどうしたいのか」を、ちゃんと考えてみることだと思います。
その上で「やっぱり今は違う」と思うなら、それも一つの選択ですし、覚悟を持って自分で決めて、やる!と決めたならそこから動いてみるのもいいと思います。

そうしないと絶対後悔すると思います。
どちらを選ぶにしても、 自分で考えて決めた、という感覚を持つことが大事なんだと思います。
「海外に行くとキャリアは止まるのか?」—ER看護師として働く今につながっている、海外での臨床経験~

まとめ
松見看護師は、不安な気持ちを持ちながらも、その都度、自分で考え、現場に向き合い続けてきました。
海外での経験を通して培われた、自分事として向き合う姿勢。
それは、現在、ER看護師として働く今にもつながっています。

当時どう考えて、どう動いたのか。
その一つひとつの積み重ねが、今の実践につながっていました。

看護師
松見

【プロフィール】
都内の大学病院ERで3年間勤務。
2018年にNPO法人ジャパンハートの国際看護師研修(現・メディカルチーム)に参加し、長崎県対馬病院およびカンボジアにて臨床医療に従事。帰国後、奄美大島で離島医療に携わり、2020年より再びカンボジアへ渡航。2022年の帰国後は総合病院ERに勤務。

【ACジャパン支援キャンペーン記念企画】ナースインタビュー~看護師・松見瑛莉子 編~
https://www.japanheart.org/topics/other-topics/20250629.html