VOICE

今回ご縁をいただき、2年ぶりに輪島市門前地区を訪れました。
目の前に広がる風景は、私の記憶とは少し違っていました。

 

自衛隊がお風呂を提供してくださっていた公民館の前には、もう何もありません。空地には仮設住宅が立ち並び、私たちが巡回診療に訪れていた避難所の一つである小学校は閉鎖されていました。校庭で元気に遊んでいた子どもたちの姿もありません。私たちが滞在していた門前中学校は、現在では門前学園という小中一貫校になっていました。

 

今回、私たちは健康チェックの機会をいただき、住民の皆さまの健康相談や、エコーを用いた深部静脈血栓症(DVT)のチェックを行いました。その合間には仮設住宅を訪問し、気がかりな方々の健康状態を確認しました。うち2名については、近隣の総合病院を受診できるよう手配を行いました。

新築する家の地鎮祭について、笑顔で話してくださる方がいる一方で、すべてを失ったことで気力をなくし、飲酒量が増えている方もいらっしゃいました。震災から2年という月日の中で、一人ひとりの状況の差が、より顕著になっているように感じました。

また、ケアが必要なのは、仮設住宅で暮らす被災者の方々だけではありません。仮設住宅での生活を支え続けている地元の方々にも、心身の負担が積み重なっています。支える側を支える視点も、欠かせないものだと感じました。

 

発災直後、私たちは、避難して間もない方々を災害関連死から守るために、避難所内の感染症への対応、福祉避難所への移動が必要な方々のリスト作成、慢性疾患の管理などに追われていました。

しかし、2年が経過した現在、支援の焦点は変わりつつあります。

震災前とまったく同じ日常に戻ることは、難しいのかもしれません。それでも、外からの応援に頼る生活から、地域のコミュニティの中で再び暮らしていける生活へと移行していくこと。そこまで見届けて、初めて支援は一つの区切りを迎えるのではないかと思います。

時間の経過とともに、必要とされる支援の形も変わります。状況に応じて活動を変化させること。支援のゴールを見定めること。そして、ときには支援する側が一歩引く時期を判断すること。どれも簡単なことではありません。

長期にわたり支援を続けてきた団体の活動に参加させていただいたからこそ、今回、その難しさを改めて実感することができました。

次に再び災害支援に携わる機会があれば、目の前の課題に対応するだけでなく、その支援がどこへ向かい、いつ、どのような形で地域に引き継がれていくのかまで見据えた活動をしたいと思います。

このような貴重な機会を与えてくださったジャパンハートの皆さまに、心より感謝申し上げます。

ジャパンハート 災害支援・対策 iER 能登 被災地の中長期支援がもたらすもの

iER登録ボランティア 内科医師 M.O.