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【災害支援・対策(iER)】熊本地震における避難所支援に参加して

2020年の熊本豪雨の際、私は看護学生でした。ニュースで災害の様子が流れ、まだ医療者ではないけれど何かできないか。そんなことを考えました。しかしお金もなければ、現地まで行く手段もない。何をしたらよいのかも分からず、ただニュースを見ているだけでした。
そのようなやりきれない思いもあり、被災地や発展途上国で困っている人の力になりたいとジャパンハートのメディカルチームに所属しカンボジアで勤務をしていました。そして2026年7月28日に熊本地震が起こりました。カンボジア人スタッフも日本の状況を心配してくれているなか、私自身も数年前の記憶が蘇り、今なら自分自身できることが少しでもあるのではないか、チャンスがあるのなら絶対に行きたいと思っていました。そんななかカンボジアのメンバーにも要請がかかり、私も熊本地震の支援に行けることが決まりました。
活動地へ向かう道中、初めて被災地を見て、崩れ落ちた家屋や建物には想像以上の衝撃をうけました。しかし、崩れている家の隣は外見上問題なく残っている様子や、駅では部活に向かう学生、お洒落をして出かけていく方を見て、とても不思議な感覚になりました。自宅が崩壊し日常生活が一気に崩れた人がいる一方で、隣の家では日常が戻りつつある。そのような現実が発災して1ヵ月近く経つ現在は起こっているのだと感じました。
実際に避難所に入ると、まずは支援物資の数に驚きました。並べられたさまざまな食品、日用品、介護用品など多くの方からの支援で支えられている一方で、住民の平等性を保つために十分な数がないものは配布することができていない、反対に余ってしまっている物もあるなど、避難所という集団生活を平等に過ごすために生まれてしまった支援と現場のギャップも感じました。
医療・看護の面でいうと、私が現地に到着した頃には発災から1ヵ月が経とうとしており、医療者は医師1人、私含め看護師3人で活動していました。緊急性のある対応は少なく、数人の創傷処置や長期の避難生活に伴う高血圧、隠れた有症状者がいないかなどの確認が主になっていました。
発災から日が経った時期だからこそ生じる問題や、避難所での食生活やライフスタイルの変化が住民にどのような影響を与えるのかを体感しながら、そのなかで看護師としてどのように介入すべきかを考えることも自分自身の学びとなりました。また、避難所にいる全ての人に異常がないか、声掛けや健康状態の確認を行い、問題が起こる前に、自分で対象を見つけ出すことの大切さも感じました。
約10日間、住民と同じ避難所で過ごすことで、同じリズムで生活しながら住民の様子を捉えることができたのは常駐していたジャパンハートの強みなのかなと感じました。皆さん、大変な状況のなか、快く私たちを受け入れてくださり、温かい言葉や冗談まで、住民とのコミュニケーションは私の中でもとても温かな時間でした。
さまざまな方からもジャパンハートがいることで安心できるとの話を伺い、ジャパンハートが避難所の中でも大切な役割を担っていることを知ることができました。避難所の一日の中に、ラジオ体操やレクを取り入れ、アナウンスが流れると住民、支援者みんなが自分から体操をし、その後の換気や掃除を行う様子、楽しみながらレクを行う様子など、健康増進や避難所内のコミュニティーを構築する上で大切なことも学ぶことができました。
また、医療的な面だけでなく、避難所運営としてどのようにベッドを配置するか、どう他団体と協力するか、要配慮者をどう地域につないでいくかなど、病院勤務の経験しかない私にとっては難しくも新鮮なことばかりでした。そして、一人ひとりの住民の状況を考え、誰も取り残されないように、一見問題なく見えていても何かあるのではないか、そのような視点で住民と関わり、住民や他団体など多くの人に対して細かな配慮をしているiERスタッフにはとても感銘を受けました。

また、ジャパンハートだけでなく、八代市の方々、さまざまな場所から支援に来ている人、炊き出しのためにキッチンカーで来る方、多くの温かい支援を感じることもできました。医療者以外の方々の活動を身近で見ながら、ともに活動するなかで、それぞれが住民のためにできることは何なのかを考え、協力し合いながら避難所運営をしていることを知ることもできました。私自身ができたことは短期間で、断片的なものだったかもしれませんが、そのような皆さんの活動が持続することで、住民も安心して過ごせる避難所を作り上げることができているのだと感じました。

被災された方々の中には、身近な方を亡くされた方、大切なものを失った方、今でも地震の恐怖を感じる方など、皆さんが辛い状況だと思いますが、それでも笑顔で、力強く日々を過ごす姿には私自身も日々勇気づけられていました。被災された方々の一日も早い復興と健康を常に祈っております。また、今回参加させていただいたこと、現地でともに働いた方々、私たちを受け入れてくださった住民の皆さんすべての方に感謝申し上げます。

iERボランティア 看護師 S.A
