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アジア開発途上国、日本の離島・へき地で活躍するメディカルチームの
看護師・助産師たちの葛藤や感動、日々の出来事を綴ったブログ

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看護師

2023.03.14

自分では選ばない道

カンボジアに来てあっという間に2ヶ月が過ぎました。今回は初めての手術室勤務で感じたことを書こうと思います。

カンボジアでの看護師研修はまずPhase1(成人病棟)か手術室での勤務から始まります。渡航前にどちらに行くか決めるのですが、私たちの場合は公平にジャンケンで決めました。正直言うと、手術室に対しては「解剖生理を理解するのが大変そう」「私には合わない仕事だろうな」というネガティブなイメージをずっと持っていました。

カンボジアに来てまだ環境にも慣れていない、病院のやり方も理解していない中での手術室勤務スタートは不安が大きく、精神的にも身体的にもしんどいと感じることがありました。

解剖生理を勉強したはずなのに実際に術野を見てもどこの部位なのか分からず手術記録が進まない、器械出しの動きが遅くて医師を待たせてしまう…できないことを挙げればキリがありません。

現在は外科医師が長期ボランティアとして勤務しており週2回程の手術に加えて、日本からボランティアの外科医師が来てくれた時は手術missionという形で集中的に難しい症例の手術をしています。

日本の病院で術前・術後のケアを経験したことがある疾患の手術に立ち会うことも多々ありますが、改めて勉強し直すといかに今までの自分の解剖生理の理解が浅かったかということを痛感します。

mission期間中は手術終了後にカンファレンスがあり、その手術について記録係の看護師がスライドを作成し、発表します。手術前に解剖生理を勉強していても、初めて見る手術だと分からなかったり、自分の理解が正しいのか不安な部分が出てきます。その時はクマエスタッフに聞きながら発表用のスライドを作り、その後、執刀した医師に間違いや誤った表現がないか最終確認してもらいます。

日本で働いていた時、ここまで真剣に術式や術後管理について人に聞いたことがあるだろうかと思うほど、この時は真剣です。日本でもこのくらい勉強していれば術後管理に活かせたのに…経験豊富な外科医師が周りにたくさんいたのに…日本の病院は恵まれている環境だったなと日々実感します。

カンボジアに来なければ、日本がいかに恵まれている環境かということに気づけなかったし、医師や先輩看護師から教えてもらえる機会は貴重なのだと気づくこともできなかったと思います。

私が好きだった小児外科病棟での1番のやりがいは手術を乗り越えた子どもと家族が元気に家へ帰るためにサポートすること。手術室を経験し、術式や解剖生理について深く理解することで、より個別性の高い術後ケアに繋げていきたいです。

自分では選ばない道

ここに来なければ手術室を自分から選ぶことは無かったはず。経験がないからこそ最初は不安ばかりでしんどかったけれど、その分得るものは大きかったし、やっぱり小児看護が好きだなと改めて感じることができました。

今は教えてもらうばかりですが、今後は学んだことをもとに術後管理に活かしてこの国の人々に還元していきたいです。

59期 N.H

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