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アジア開発途上国、日本の離島・へき地で活躍するメディカルチームの
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看護師

2023.12.04

患者さんの笑顔~ラオス ミッションを終えて~

本日はラオスで行った甲状腺ミッションの活動を紹介をしたいと思います。

私はミャンマーで5カ月間活動したあと、カンボジアに移動して1カ月が経過しました。
そして今回はラオスのウドムサイにある病院で甲状腺ミッションに参加させていただきました。

ラオス事務所のあるヴィエンチャンからウドムサイまでは中国ラオス鉄道を利用して向かいます。
海外で列車に乗るのは初めてでとてもドキドキしました。
時間は3時間半から4時間ほどでしょうか。乗客は中国人も多くとても賑わっています。
2年ほど前に開通したこともあって駅や列車内は綺麗です。

車窓から見える景色はウドムサイに向かうにつれて緑や田園が多くなり自然豊かな場所なのがわかります。
11月から乾季に入り、朝は息が白くなるほど気温が下がります。
ウドムサイ県は標高600mと高く、ニットやダウンを着用している方も多く東南アジアとは思えない光景です。

ミッション開始の4日前に病院入りし、早速到着した日は大量の医療資材を病棟・手術室に分けたり、吸引器やモニターの動作確認、滅菌器具の準備、患者さんのカルテ整理などを行いました。

今回、甲状腺の手術予定の患者さんは12名でした。
ミッション開始数日前にバイタルサイン測定、検査(採血、レントゲン)、同意書の説明を行いました。
ウドムサイ病院の看護師4名も参加してくださり、一緒に進めていきました。
以前はJHチームが全て担っている部分もあったそうですが、今後技術移転を目指していくにあたって、少しずつラオス人で行えるよう関わっている様子が印象的でした。

緊張している患者さんに覚えたてのラオス語を使ったところ素敵な笑顔を見ることができました

術前に甲状腺の大きさを測定します

12名の患者さんが来院予定でしたが、実際は6名の患者さんが来院されました。
「残りの患者さんはどうしたんだろう」と思っているとその後、来院されなかった患者さんにスタッフが連絡をしていました。
しかし電話が繋がらない患者さんがいたり、受診することを忘れていた(1週間前に連絡していたのですが)という患者さん。

詳しくスタッフの方に聞いてみると、普段も受診日に来ない患者さんが多いそう。
「症状がないから来る必要はないと思った」「もう治ったと思った」と話す方が少なくないそうです。
そして何年後かに「また症状が出てきたから来た」という患者さんもいるそうです。
このように予定通りに進まないことも国が違えば出てくることです。

今回の甲状腺ミッションは日本の医師も参加してくださり、3日にかけて行いました。
その後の術後管理をラオス人2名(通訳さん)と日本人2名で行いました。
甲状腺が年々大きくなることで、呼吸がしづらくなったり、震えの症状が出てきたりと日常生活に支障がある患者さんもいます。
手術前の患者さんはとても表情がこわばっており、緊張している方が多かったです。

私たち日本人と言葉が通じず、とても不安な思いをされたと思いますが、術後、多くの患者さんがニコッと笑う様子をみた時に「こんな素敵な表情をされるんだ」と術前と違う表情に驚きと嬉しさを感じました。
退院時には「コプチャイ(ありがとう)」と両手を合わせてお礼を伝えにきてくれる患者さんもいました。

大きな甲状腺を切除し、呼吸がしやすくなったと話されていました

退院時の様子

また、ラオス人看護師の印象はとても優しく、患者さんにも丁寧な接し方だなと感じました。
処置方法や記録の書き方など教えて欲しいと積極的な姿勢にも刺激を受けました。
翻訳機や通訳さんを通して伝えるのですが、言い回しが難しいことや通訳さんがイメージすることと少し違っていたりするとそこで相違が起こりきちんと伝わらないこともあります。
そのような時は一文一文を簡単にし、紙に書いてみたり、途中で区切ってどこまで理解できたのか確認しながら進めたり、改めて自分の表現力の乏しさに気づくこともあり、もどかしさを感じることもありました。

長い間甲状腺疾患を抱えながら生活してきた患者さんが、少しでも生活しやすくなり、笑顔になって帰られ、このような瞬間に関わることができとても貴重な経験をさせていただきました。

ここで学んだことをカンボジアに戻って少しでも還元できたらいいなと思います。

Y

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