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アジア開発途上国、日本の離島・へき地で活躍するメディカルチームの
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看護師

2024.04.18

会話をすること、笑顔でいること-ラオスミッションを終えて-

3月15日~3月25日まで、ラオスのウドムサイ病院での甲状腺ミッションに参加してきました。色々なハプニングがありました。

現地スタッフや以前ラオスに駐在して活動をしていた方も含めた全員が、「こんなに色々なことが1つのミッションで起こることってある?」と思うほどでした。
しかしどんなことが起こっても目的はただ一つ。

「患者さんが手術を受け、安全に退院するまでサポートすること」

ハプニングに対して誰一人マイナスなは言動せず、むしろ参加したスタッフ全員が目の前のやるべきこと、自分ができることをその都度考えながら行動し、常に前向きな雰囲気づくりを意識していたと思います。

日本で仕事をしていた時もそうですが、私はチームを意識しながら動くことが好きです。
今回ミッション参加にあたり、自分の役割として意識したチームが2つあります。ラオスで実際に活動するチーム、それから今活動しているカンボジアのチームです。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

このミッションもそうですが、外部での活動は日本人・カンボジア人とも、希望すれば全員が参加できるというわけではありません。
参加を希望しないスタッフもいますが、「私はJHCMC(ジャパンハートこども医療センター)のスタッフとして行くんだ」ということを意識したとき、直接現地で活動しないスタッフにも興味を持ってもらいたい、活動を通してカンボジアのチームに還元できることはないだろうかと考えていました。

そんなとき、ラオススタッフへの勉強会実施の依頼がありました。
私自身、日本でICU経験が長く術後管理の経験はありますが、甲状腺術後ケアの経験は多くありませんでした。カンボジアスタッフの方が個々の甲状腺術後ケアの経験は勿論、新人への指導経験も多いため教えて欲しいと思っていました。

ラオスの情報も収取しながら資料を作成し、シニアスタッフに指導時の工夫等を聞いたり資料やプレゼンをみてもらいました。また病棟で勉強会の予行練習をさせてもらい、新人スタッフには伝わりにくかった部分を2年目スタッフがカンボジア語で解説する様子や、個人的に「この表現は違う意味で捉えちゃう人もいると思う」と教えてくれるスタッフからのアドバイスをもとに、修正したい箇所をピックアップしてラオス入りしました。

実際の勉強会は英語で発表し、現地のジャパンハートスタッフの方がラオ語に通訳しながら進めていきます。スライドは英語ですが配布する資料はラオ語のため、資料の締め切り後に出た修正希望箇所を、前日の打ち合わせで現地スタッフに説明しました。

その際に、非医療者である現地スタッフから「これってどういうこと?」「こういう解釈であってる?」という確認があり、さらに説明内容の修正もしていきました。こうやって色々な方からの意見を聞くと、自分だけで考えたものより分かりやすいものができるなぁと感じます。

当日は看護師以外にも執刀医や麻酔科医、薬剤師等も参加する会議の中での発表となり、会場の雰囲気も相まってとても緊張しましたが、熱心に聞いたり写真を撮ったりして下さる様子に、内心では「カンボジアのみんなもありがとー」と思っていました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

当初は病棟で術後ケアを担当する予定でしたが、現地入り後に急遽手術室に入ることになりました。
手術の直接介助やメインの外回り介助は現地スタッフが行い、私は物品管理や術中記録、外回りのフォロー等を行いました。

前日のミーティングで「ガーゼカウントを間違わずにしてほしい」という話があり、実際にどのように実施しているのかを見ていました。
私は日本での手術室経験はなく、カンボジアで3カ月カンボジア人に教えてもらった手術室看護がベースになっています。その時指導してもらったことが、今、ラオスのこの手術室の「ガーゼ・出血カウントがうまくいかない」という問題解決の助けになると思い、「こうゆうやり方はどうだろう」と現地スタッフに提案し、一緒に実践してみました。

計算が苦手なようで苦戦する様子はありましたが、やり方が分かると積極的にカウントをし、終わると確認してと声をかけてくれます。
術中に出血量を医師から確認されたり、報告したい場面で、タイムリーにカウントが記載されていることがとても助けになり、「ありがとう」と伝えると嬉しそうでした。「この方法どう?」と聞くと「すごくいい」、と自分のメモ帳にやり方を記載したり写真を撮っているスタッフもいました。「カンボジアの手術室で教えてもらったやり方だよ」と伝えると、「いいね。ありがとう」と言ってくれました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

急遽手術室業務へ変更になった時、カンボジアで手術室を経験していて本当に良かったと思いました。それは単に「業務が分かるから」ということだけでなく、得た経験が自分だけのものではなく、ラオスの手術室看護師にとっても有益なものになったと感じることができたからです。このことがとても嬉しかった。

カンボジアに戻ったあと、手術室で指導してくれたスタッフに今回のことを話し、改めて感謝を伝えることもできました。
英語がほとんど話せないラオススタッフは、タイ語から英語に変換したりしながら英語の勉強をしていました。ラオ語とタイ語は似ていてタイピングなどに支障がなく、ラオ語から英語よりも正確だからと教えてくれました。

英語、日本語、ラオ語、クメール語が飛び交う中で、それぞれが伝えよう、理解しようと色々な方法で業務以外でもコミュニケーションを楽しんでいました。
その時に、以前カンボジア人から ”Everyone says you don’t laugh. I don’t know what you’re thinking. Laugh more.”と言われたことを思い出しました。日々の業務や環境の変化、自分自身との葛藤の中で、努めて前向きになろうとしては余計にうまくいかず、疲弊して殻にこもるような感じになっていた時期でした。

外でのんびりマンゴーを食べながら休憩してるときに、何の前触れもなく、しかもミッションを通してはじめて会話をしたスタッフから、急になんとも直接的な表現で言われたことでしたが、それがかえって自分の中に入ってきて、ずっと心の中に残っていました。

(ちなみに「緊張で中々笑えないときもあると思うんだけど、どうしたらいい?」と聞いたら、”Take it easy!” という、シンプルな答えが返ってきました。このなんとも言えないカンボジア人との日々のやり取りも、なぜか心地よく感じます。)

緊張や波に乗れないとき、そんな簡単に笑えないよとも思いますが、今回のミッション中、色々なハプニングの中でも周囲の方がみんな笑顔で声を掛け合い、一緒に乗り切ろうとする雰囲気にとても助けられました。

笑顔でいること。

簡単そうで難しいですが、大事なことだと改めて感じます。
そして会話を重ねていくこと、相手の言いたいことを理解しようとすることもとても大事だなと実感します。そのためにも語学の勉強は続けたいし、医療分野だけでなく色々なことに興味関心を持ってこれからの活動も続けていきたいと思いました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

4月も後半。
活動期間も残り約7カ月。

期限があることを自分に言い聞かせています。

看護師62期 関山弘子

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