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アジア開発途上国、日本の離島・へき地で活躍するメディカルチームの
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看護師

2024.07.12

カンボジア2回目のひとりっ子活動 @クロッチュマー病院 ~後編~

前回のメインの活動はBLSレクチャーでしたが、その他にも現地で拾い上げたニーズに対してタイムリーに介入していました。
※前編はこちら

救急病棟にて現地スタッフと一緒に患者さんのケアをしたり、他病院への患者さんの転送に着いていく中で、そこで働くスタッフひとりひとりの想いについて聞くことができました。

また、低血糖で入院している患者さんがぐったりしていたので血糖値を測ってみたらまだ低血糖が続いていたり、逆に糖分を多く含む点滴を継続しているのに血糖値を測っておらずいつのまにか高血糖になっていたりと、入院時の医師の指示をもとに看護師は薬を準備して投与するだけで”アセスメント”して看護師自ら動くという場面が少ないように感じました。

カンボジアの病院では看護師は医師の代わりに創の縫合をしたり抜糸をしたりと技術的なことはしますが、患者さんの状態をアセスメントしてそこから何をすべきか考えるということについてはまだまだ浸透していないようです。

そのため、積極的に「私はこの患者さんについてこう思うんだけどどう思う?」と聞いてみたり、「どうしてこの患者さんは血糖値を測っていないの?」と聞いてみたり、相手の様子を伺いながらこちらの意見やアドバイスを伝えるようにしていきました。

そうしていくうちに、私が救急病棟に行くと「おはようMoemi!今この患者さんはこういう状態で治療が難しいんだけどどう思う?」と医師からも看護師からも気軽に声をかけてもらえるようになり、少しずつだけど確実に、信頼関係は築けてきたのだなと実感することができました。

残念ながら私の滞在中に2人、子どもの心肺停止の患者さんが救急搬送されてきてそのまま亡くなってしまったことがありました。

カンボジアでは交通ルールが十分に整備されていないことと、親が子どもから目を離してしまい赤ちゃんでも道路で遊んでいたりすることとで、交通事故は後を絶えません。
また、お金の問題や正しい知識の普及が進んでいないことなど、医療を超えて行政や保健指導的な面での支援も必要なのだと思います。

目の前のこの子を救うために私に何ができただろうか。

いろんな要因はありますが、まずはここ病院から。
いろんな患者さんが運ばれてくる救急病棟から介入して、緊急時に患者さんを救う技術の習得とともに、スタッフの責任感だったり医療者としての意識も向上していくといいな、そこから近くの村や町に子どもを守る目とか想いが伝わったらいいな、私はそのお手伝いができたらいいな…と思います。

また、外来で出会った熱傷の患者さんについて、私は感染予防と皮膚の機能を補うために、清潔と保湿が重要だと考えていましたが、現地スタッフは全く違う方法で処置しようとしていたため、「なぜこのやり方なのか、私はこう思うけどどう?」と働きかけ、一緒に処置を行いました。

日本では当たり前だと思われていることがここでは目新しい方法として警戒されてしまうこともしばしばあります。
その場の説明だけではいまいち納得してもらえなかったように感じたため、後日熱傷についての勉強会を行うと多くのスタッフが参加してくれ、興味深そうに聞いてくれました。

また、私の滞在期間中にプノンペンから骨接合術のオペチームが来てオペミッションを行っていたため、現地ナースがどのような動きをするのか知りたいと思い、私も参加させていただきました。

クロッチュマー病院ではまだ全身麻酔の手術件数は少なく、術後管理に慣れていないため、ぜひサポートしてほしい、と現地ドクターに声をかけていただき、ジャパンハートの看護師として信頼してもらえているんだなと嬉しくなりました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

その他、緊急時により素早く患者さんのケアができるよう救急カートを整備することの重要性を全スタッフが参加するミーティングで呼びかけたり、各病棟の薬剤について調査したり。

助産師からも今後ジャパンハートに介入してほしいという声が聞かれていたため、ジャパンハートの助産師とも連携をとり、現地の助産師に具体的にどんなことに困っているのか、お産の現状について、英語の話せるスタッフに翻訳をしてもらいながらインタビューを行いました。

それを元に今後ジャパンハートとしてどのように産婦人科分野に介入していくか検討していく予定です。

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日本人1人でカンボジアの病院に介入し、思うようにいかず大変なこともあります。
でも、行動しない限りは何も始まらない。

たとえ失敗したとしても、それをきっかけに次取り組むべきことが見えてくる。
そのひとつひとつの失敗を行動に変えて、積み重ねていくうちに、何かが少しずつ変わっていったり。
全力で取り組み、一生懸命目の前の人と向き合ううちに、相手も少しずつ心を開いてくれるようになったり。

私はそんな過程のひとつひとつが楽しく、尊いものだと感じています。
カンボジアに来なければ得られなかったもの。

本当に、心からここへ来て良かったと思います。
私たちの活動を支えてくださっている方々に、改めて感謝を申し上げます。

ありがとうございます。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

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(最終日、BLSの認定書の授与が終わった後になんと現地スタッフからサプライズでケーキとお花を頂いてしまいました)

61期看護師 久島萌美

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