医師
2024.11.03
ジャパンハートこども医療センターについて
ジャパンハートこども医療センターはカンボジアにあります。
皆さんはカンボジアについてどんなイメージをお持ちですか?
一番に思い浮かべるのはアンコール・ワットではないでしょうか。
ジャパンハートの病院とは離れていますが、とても綺麗な場所なのでカンボジアに来た際にはぜひ訪れてみてください。
カンボジアの人口は1670万人と日本の7分の1ほど。
平均年齢は25歳と若い世代が多い国です。
主な産業は農業です。
しかし、首都のプノンペンはかなり発展しており、農村部との差が激しいです。
国民の平均年収は約24万円です、月収ではなく年収です。日本と比べるとかなり差があります。
保険制度は、日本のような公的な医療保険制度はなく、基本的に全額自己負担だそうです、医療保険未加入率は70%と高く、治療費を払えないから病院に行けない・治療を続けられない人が多くいます。
カンボジアの歴史を語る上で忘れてはならないのは、1970年代後半に起こったポルポト政権による大虐殺です。
カンボジア全体で170〜200万人近く亡くなったと言われています。
原始共産主義の理念のもと特に知識層の大量虐殺が行われて、生存した医師は30人に満たないと言われています。
医療者不足により、医学生約700人が十分な教育を得ないまま一年で医者となり、知識も技術も未熟な医師が蔓延しカンボジアの医療は崩壊しました。
また、その未熟な医者が次の世代を教育する負のスパイラルに陥ります。
医療が未熟であり、国民の医療への信頼度は低く、未だに伝統療法が根強く信じられています。
ジャパンハートこども医療センターはカンボジアの首都のプノンペンから約1時間のウドンというのどかな田舎街にあります。
十分に医療を受けることができない貧困層を対象として2016年5月に開院しました。
日本からの寄付で運営しており、小児の治療費は無料となっています。
約100人のスタッフが勤務しており、その内日本人は約20名です。
病棟は小児病棟(約40床) と成人病棟(約30床)があります。
外来は写真のように本当に「外」にあり、屋根の下に椅子が並べてあるだけの簡易的な空間です。大雨が降ると外来に水が入ってくることもあります。
外来患者数は約2500人/月(大人約2000人、子供約500人)で、年間約3万人とかなり多いです。
外来では大人は皮下腫瘤・甲状腺腫瘍・乳腺腫瘍・糖尿病・高血圧・婦人科疾患・交通外傷が多いです。
小児外来で多いのは鼠径ヘルニア・陰嚢水腫・皮下腫瘤・発熱などです。
日々たくさんの患者さんが来院しますが、クマエと日本人スタッフが力を合わせて頑張っています‼︎
医師
入澤 里桜