コメディカル
2024.11.11
臨床検査技活動報告⑲ 試薬・物品管理について
※臨床検査技師活動報告⑱まではこちらをご覧ください。
【はじめに】
日本の病院勤務時の試薬・物品管理は院内物流管理システム(SPD:Supply Processing and Distribution)が導入されており、検査室で使用する試薬含む消耗品の供給、在庫などの管理は一部がSPDに委ねられていました。
SPDを利用することで試薬、物品等を安全に供給、搬送し過剰在庫や製品の期限切れ等を防止していました。
「ジャパンハートこども医療センター」ではSPDはなく、病院全体の業務に関する必需品(例えば薬品、試薬、採血針・シリンジ・採血管等のディスポーザル製品など)はすべてファーマシー(薬局)が一手に各部署よりの発注を収集し、メディスンバイと言う月に一度プノンペン市内へ病院所有の大型車で購入に出向くシステムとなっています。
今回検査室での試薬・物品管理について現状をまとめたので報告します。
【現状】
検査室では現在、自動血球分析装置、電解質分析装置、血液凝固分析装置、血液ガス分析装置に関する検査試薬、感染症(HIV、HCV、HBV)及び尿中妊娠検査の簡易検査キット及び血液培養ボトルの計20数品目に関して在庫切れや有効期限切れとならないように管理し発注しています。
また、採血管、分注用チップやスポイド、心電図ペーパー等15品目のディスポーザル品に関しても同様に在庫切れとならないように発注しています。
検査消耗品
当院での外来、病棟月別患者数はほぼ一定しており、外来患者数で言えば毎月約2000件を超える患者数であり使用消耗品もほぼ一定しているので毎月のメディスンバイでの発注は、前月の使用動向を鑑みながら一定数を発注することが多いです。
ただし、使用頻度の高い自動血球分析装置の試薬は月2回不規則にファーマシーに発注することが多く、その点は理解し購入していただている現状です。
日本で勤めていた病院では多くの検査試薬に関して検査試薬メーカーと病院との間に医薬品卸が介入し、試薬数が多いため多くはSPDを介さず医薬品卸と直接検査試薬の発注・入庫を行い、現場及び医薬品卸と協力し在庫管理を行っていました。
しかし現病院では医薬品卸もSPDもなくすべて検査室試薬及び消耗品に関して自身で管理する必要があり、これまでは目視とメモ書きによる管理で行われていましたが、私のボランティア活動後は自身で検査試薬及び消耗品一覧表を作成し定期的に検査試薬有効期限及び消耗品在庫数をチェックするようにしました。
現地では医療資源乏しく必要最低限の在庫しか置けないため日本にいた頃と比べるとコスト意識や試薬管理にたいへん気を遣うようになりました。
検査試薬①
検査試薬②
【今後の課題】
現在の試薬・物品管理は試薬及び消耗品項目数が少ないため人的作業で管理できていますが、項目数がさらに増加するとどうしても確認漏れが生じる可能性あるためエクセル等を用いたシステムに頼らざるを得ないと考えています。
現在、ともに業務にあたっているカンボジア人技師は大学で情報処理に関する講義がありエクセルを使いこなしているようなので、彼に試薬・物品管理に関するシステムの構築をお願いし過不足のない試薬・物品管理ができればと考えています。
検査室と薬局(ファーマシー)スタッフ
ジャパンハートこども医療センター
臨床検査技師
森 三郎