医師
2024.11.13
カンボジアの限られた医療資源
治療をする上で障壁となるのが、カンボジアの限られた医療資源です。
▼限られた治療の選択肢
カンボジア国内での小児がんの基本的な治療は化学療法と手術です。
小児の放射線治療ができるのはカンボジア国内で一ヶ所のみです。
骨髄移植・造血幹細胞移植はカンボジア国内では実施できません。
血中MTX濃度は測れないので大量MTX療法を実施することはできません。
安定した輸血供給もありません。
これらの理由から治療強度を下げざるを得ないのが現状です。
▼限られた検査
当院にある画像検査はエコーとレントゲンのみです。
CT・MRIがある病院はカンボジア国内に数カ所のみです。(費用は1回1-2万円とカンボジアの月給とほぼ同じ額がかかります)
骨シンチグラフィはカンボジアにないので転移の評価は困難です。
カンボジア国内で測定できる腫瘍マーカーはAFPのみです。
短期ボランティアに来て知っていたつもりでしたが、実際に働いてみると日本との差に戸惑いました。
▼血液製剤の入手が困難
カンボジアの輸血センターでは輸血は献血と引き換えにもらえる形です。
輸血が必要な患者さんがいたら、患者さんの家族や親戚など、献血をしてくれる人を輸血センターに連れて行き、そこで献血をすると引き換えに輸血パックをもらってくることになります。
緊急で使う時は、写真のように病院スタッフから全血輸血をします。
カンボジアでは日本のように血液製剤への放射線照射やリンパ球除去フィルターがないので、輸血関連の合併症で亡くなる人もいます。
医療資源の限られた環境ですが、そんな中でも出来ることを全力でクマエ達と力を合わせて頑張っていきたいと思います。
医師
入澤 里桜