コメディカル
2024.12.09
臨床検査技師活動報告㉑ 看護師・助産師/医療系学生ツアーにおける検査室紹介について
▼はじめに
ジャパンハートでは「ジャパンハートこども医療センター」での医療活動の見学及び現地活動中の医師、看護師、その他医療スタッフとの交流を目的に看護師・助産師ツアー/医療系学生ツアーを年間数回企画しています。
毎回約10名程度の両ツアーメンバーが現病院に到着後、2日間にわたって施設内を視察巡回し部署ごとに業務内容を担当者から短い時間説明を受け、自身の目で見て体験する形をとっています。
その中に検査室も含まれており、話す30分程度の内容について紹介いたします。
▼紹介の内容
内容としては、まず臨床検査について説明をします。
臨床検査とは人の体の状態を検査することをいい、検体検査と生体検査に分かれそこから両検査ともさらに細分化された検査項目をそれぞれ臨床検査技師が行うことを説明します。
日本では臨床検査技師の医療職種における知名度が低いことも合わせて紹介し、チーム医療の一員である自覚と行動が臨床現場での存在感のアピールとなることを説明します。また精度管理という機器・試薬管理も行いデータの信頼性を担保する業務も行っていることも紹介します。
続いて現病院の検査室の現状についての説明ですが、まず長所は検査室がオープンであること、短所は検査項目が少ないことを説明します。
日本の病院における検査室はブラックボックスの傾向にあり病院スタッフでさえ立ち入る機会の少ない場所です。
しかし現病院では検査室はオープンな場所にあり、いたるところから検査の様子がうかがえることが長所と説明します。
一方、短所はとにかく検査項目が少ないことであり、もともと臨床検査技師がボランティア活動に参加する前は医師、看護師が設置された機器で測定していた背景があるため検査項目が少ないことを説明し、臨床検査技師の活動参加により医師、看護師とも本来の業務に専念できるようになったことを紹介します。
あとは各検査項目について説明しますが、とくに輸血検査における輸血用血液製剤確保の方法について紹介すると日本と違う点にみなさん驚かれます。
カンボジアでは輸血用血液製剤が必要な場合、必要輸血パック数分の献血者を家族や親族が首都プノンペンにある血液センターに連れて行き、献血を済ませることで献血した証拠となる番号が割振られ、それを持って現病院に提出することで担当医がようやく輸血用血液製剤発注書を作成し病院より改めて血液センターに発注を仰ぐという、いわば物々交換が行われているという現実にみなさん興味を持たれます。その他の検査項目についても時間があればできる限り紹介するようにしています。
▼紹介の終わりに
最後に必ず現病院の日本との相違点について紹介します。
まず、情報が各自所有のスマホにアップされ情報共有となること、病院内での感染防止対策が日本と違い非常にあまいということ、そして最後にヒューマンエラーがいたる所にあることを紹介します。
それぞれ理由がありますが、参加者のみなさんには日本をそのまま持ち込めるわけではないことを理解していただき、今後できるところから改善策を講じていく必要があることを伝え終了としています。
ジャパンハードこども医療センター
臨床検査技師
森 三郎