看護師
2024.12.26
日本とカンボジアの小児病棟の違い
私は11月より、ジャパンハートこども医療センターの小児病棟で活動を開始しました。
元々、日本でも小児病院で働いており、この病院に小児病棟があることはジャパンハートで活動をしたいと思った理由の一つでした。小児病棟で活動を開始し、日本との違いに日々驚くことばかりです。
こちらの小児病棟では、一般小児と小児がんの病室がありますが、主に小児がんの子どもたちが多く入院しています。
小児がんの治療にあたり、長期入院を余儀なくされます。付き添いの家族は、子どもと同じベッドや床に茣蓙を敷いて寝泊まりしています。
子どもたちは化学療法を行っており、抗がん剤の副作用と闘いながら、定期的な血液検査、輸血、抗生剤投与など検査や治療を頑張っています。また感染予防のため、小児がん病棟内のみで生活しており外で遊んだり自由に家族と面会したりも出来ません。
部屋もほとんどが4~10床の大部屋で、日本と違いカーテンもないためプライベート空間はありません。
活動開始時は、日本では個室を希望されたり、大部屋でもカーテンで仕切られていたりとプライベート空間を大切にされることが多いため、この生活環境は子どもも付き添いの家族も相当のストレスがあるのではないかと感じていました。
しかしカンボジアでは、みんなが家族のように協力しながら生活しており、笑顔に溢れています。子どもたちは同じベッドでお昼寝したり、一緒に遊んだり、時にはおもちゃの取り合いをしたり、大きい子が小さい子のお世話をしたりしながら兄弟のように生活しています。
付き添いの家族も食事をシェアしたり、付き添いの家族が出かけている間は別の家族が子どもの面倒をみてくれたり、常に協力しながら生活しています。
この背景には、カンボジアは兄弟が多い事や同居家族が多い事、また謙虚に他人を支えあう文化が関係しているのかなと感じます。
さらに、小児病棟には3床のICUがスタッフステーション内にあります。重症患者や術後患者はICUで治療を行います。
ICUに入院患者がいない期間は処置室としてベッドを使用します。術後の創処置、点滴確保、採血など、子どもにとっては嫌なことをする場所です。
しかし、子どもたちはこの場所が大好きです。
私はこの事にとても驚きました。
日本では、子どもは処置室に来ると大泣きし、すぐに部屋へ帰りたがります。その一方でカンボジアの子どもたちはベッドが空いている時間には自分たちからベッドに集まってきます。クマエスタッフも時間がある限り子どもたちと一緒に遊んであげています。
クマエスタッフは医療者として働きながらも、子どもたちの良きお兄さん、お姉さんのような姿も垣間見えます。
カンボジアらしいとても良い関係性だなと感心しています。就寝前になると年長の子どもが声をかけてみんなで病室に帰っていく姿もとってもかわいいです。
日々たくさんの笑顔が溢れているカンボジアの小児病棟ですが、厳しい数字や結果と向きあうことも少なくありません。
それでもがんと闘う子どもたちが今の入院生活を少しでも楽しく過ごせるように、クマエスタッフと協力しながら活動を頑張っています。
看護師
白谷万葉