コメディカル
2025.02.03
臨床検査技活動報告㉕ 新病院建設現場を見学して
▼はじめに
ジャパンハートは2025年10月30日プノンペン市内から少しは離れたカンダール州タクマウ市に新病院を建設し、現病院はそのまま存続しつつ小児がんを含めた小児科中心の病院を新たに開院することとなっています。本年7月下旬、建設予定地であるプノンペン近郊タクマウ市内で着工式が行われその後病院建設のための工事が始まっています。
今回、休日を利用し将来検査室が入る新棟をイメージするため建設予定地や病院周辺の様子を見学しましたので報告いたします。
▼建設状況
来年10月開院する病院は「アジア小児医療センター」と称し200床規模のベッド数を保有する総合小児医療センターです。団体目標として「アジアの開発途上国と先進国の生存率格差(サバイバルギャップ)をゼロにする」を掲げ、特に現在の診療同様小児がんの無償治療、そして持続可能な医療のための現地医療人材育成強化を課題として挙げています。
新病院建設地は現「ジャパンハートこども医療センター」から片道約45km離れており、その日は東南アジアの三輪タクシー・トゥクトゥクに乗り約1.5時間かけ、乗車代3000円足らずで現場に向かいました。現地では「ジャパンハートこども医療センター」新病院担当スタッフ一人が出迎えて下さり、工事現場事務室で概要説明を聞き、その後カンボジア人現場責任者とともに建設中の工事現場を見学しました。
見学時は地盤補強後の1階鉄骨支柱が組み上がり、今後1階部分の外壁等の作業に取りかかるとのことでした。カンボジアは乾季に入り雨が降らなくなるので工事もはかどり現時点では順調な進捗状況とのことでした。
またカンボジアは地震のない土地柄で建物の耐震補強が要らない建設工法でOKとのことで、筋交いに部材を入れる片筋交いやたすき掛けが必要ないことで費用がそれなりに抑えられることは素人の私でも分かりました。
予定として来年9月には建物、内部の電気、水道、空調、そして配管工事等が終了し、いよいよ医療機器をはじめとする必要備品の搬入が始まるとのことです。検査室で言えば、検査機器、保冷庫、机などの検査備品の搬入と同時に電子カルテ導入のための検査機器との接続作業など多忙な日々が待っていると想定しています。
▼見学を終えて
新病院建設は団体にとっての悲願でもあり、これまで海外との難航する交渉や病院自体の規模拡大から当初の予定通りにいかなくなったことなど多難を乗り越えようやくこの新病院建設着工にたどり着いています。
私のボランティア活動期間と重なり団体から新病院検査室立ち上げの協力要請もあり、日本での経験が活かせるチャンスでもありますので、これまで日本での経験を振り返りながら不明な点は元職場の先輩や日本でお世話になった機器試薬メーカー担当者に聞きながら作業を進めたいと思っています。
ジャパンハートこども医療センター
臨床検査技師
森 三郎