メディカルチーム医療者ブログ

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看護師

2025.02.20

小児病棟でのピザつくり体験

カンボジアの小児病棟では、小児がんの子どもたちが日頃より抗がん剤治療を受けながら病気と闘っています。
また、抗がん剤治療と併用して手術を受ける子もいます。

カンボジア国内で小児がんの治療を受けられる病院はほとんどなく、国内あらゆるところから治療を受けるために子どもたちが集まってきています。
隣接するタイやベトナムでは治療を受けることは可能ですが、高額な費用が必要となります。ジャパンハートこども医療センターでは治療費は日本からの寄付で賄われています。治療は長期間となるため、経済的に厳しい家庭には、治療費だけでなく付き添い家族への食事の提供なども支援しています。

手術、長期入院を頑張る子どもたちのために何かできることはないだろうか、日本人スタッフもクマエスタッフも常に試行錯誤しながら日々関わっています。
今回手術を受けた子、長期間外泊が出来ていない子を中心に医師、看護師、栄養士、調理スタッフなど多職種の協力のもと、ピザつくり体験を企画・実施しました。

当日は病棟内のプレイルームで実施しました。
午前中に清掃員さんも協力して下さり大掃除を実施しました。ピザつくり開始時には参加する子どもたちはやや緊張した面持ちながらも、きちんと手洗いをして集まってきており準備万端。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

フードセンターの料理長がつくり方を説明し、小さい子から大きい子まで、それぞれ真剣な表情で好きな具材を好きな量盛り付けをしていました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

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ピザを焼いている間に、手術後の子どもには手術を頑張ったことを称えて賞状を授与しました。
さらには、栄養士さんから食事の栄養について説明がありました。ピザは約30分程度で焼きあがり、ピザつくりをした子どもは自分のピザを受け取り、その他の子どもたちもおやつのピザを受け取りみんな笑顔で食べていました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

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今回ピザつくり体験を行うにあたり、学びがありました。
日本では食事提供を行うにあたり、食物アレルギーという大きな問題があります。以前私が日本で勤務していた際にも食物アレルギーがある子どもは多く、アレルギー対応食の提供や持ち込み食の禁止など食事に対し細心の注意が必要でした。そのため院内のアクティビティとして食事関連の提供は難しい環境でした。

しかし、カンボジアで活動を始めてまだ食物アレルギーの子をみていません。これは日本とカンボジアの衛生面や環境の違いが関係しているのではないかと感じます。
おやつ作り体験はできないと決めつけず、カンボジアだから出来ることを考える必要さを学びました。

またアクティビティ内容を考えるなかで、はじめは全員参加できる内容で考えていました。
しかし、吉岡先生より生存率、治療内容や期間など、入院している子ども達の条件は違うため全てを平等にする必要はないのではないかという助言をいただき、今回は術後や長期間外泊ができていない子どもを対象に実施しました。
外泊が出来ない理由は、治療内容や病状、また経済的に外泊する交通費がない家庭、病院から家までの距離が遠い家庭など様々です。
結果、手術を頑張ったご褒美として、長期入院における楽しみとして、対象を絞ってアクティビティを行うことも良かったと感じました。賞状を授与する際にはみんなが拍手しており、みんなで支えあい、励ましあいながら治療を頑張っているカンボジアの人間関係の良さを感じることができました。

これからも多職種と協力しながら、治療を頑張る子ども、それを支える家族の精神的サポートの一つとして、アクティビティを行っていきたいなと思います。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

看護師
白谷万葉

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