メディカルチーム医療者ブログ

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看護師

2025.03.11

カンボジア小児病棟のひなまつり

3月4日、1日遅れではありますが、カンボジアの小児病棟でひなまつりを開催しました。

本来、病院で実施するアクティビティやイベントには様々な意義があります。
特に小児病棟では子どもの心理的負担を軽減し、前向きな気持ちを育むなどの意義があると言われています。日本でも病棟保育士さんを中心に様々なイベントを行っていました。

病院内の日常生活では変化が少なく、外の世界の変化を感じにくくなります。
そのため、季節のイベントを通して四季の移り変わりを感じ、子どもたちのQOLを向上させ、心のケアをすることが必要とされています。
しかしカンボジアは、日本と気温や気候、文化も異なります。カンボジアには四季がありません。
カンボジアで何か子どもたちと実施できるイベントはないだろうかと考えました。普段より、子どもたちは「日本とカンボジアが大好き」と絵を描いてくれたり、「ありがとう」と日本語を覚えてくれたりしているため、異文化交流としてひなまつりを行うことにしました。

前日、子ども達に参加チケットを渡しながらイベント開催のお知らせを行いました。
また、通訳者へ協力依頼と打ち合わせを行いました。ひなまつりという日本独自の行事をクメール語でどのように翻訳すれば意味が通じるのか、という所から始まりました。通訳者もカンボジア人のため、間違った表現や内容にならないよう一つ一つすり合わせを行いながら、子ども達にも伝わるように準備しました。

当日は馴染みのない日本文化、さらに午後2時から開始ということで、カンボジア人の習慣でもあるお昼寝の時間のため、どれだけの子どもが参加してくれるだろうかと不安がありました。しかし、家族も含め多くの子ども達が参加してくれました。

最初に、スライドを使用しながらひなまつりとは何か、ひな人形の紹介や食べ物、着物や浴衣の紹介をしました。
一番反応が良かったのは食べ物でした。日本の食事というと寿司のイメージがあるようで、ちらし寿司を紹介した際には「寿司」とみんなが声を出していました。
また、菱餅ではカンボジアにも似たようなお菓子があるようで、「似ている」と興味を持っていました。

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その後は、浴衣や甚平等の着付け体験、お内裏様工作をしていただきました。初めての浴衣に興味津々の子どもたちは好きな柄の浴衣と帯を自分で選んでいました。
これらの浴衣や甚平は過去に日本から寄付でいただいた物です。事前に浴衣を準備していることを伝えていたため、ウィッグをつけたり、メイクをしたり、おめかしして参加してくれている子もいました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

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付き添いの家族も浴衣を体験し、家族で写真撮影会など日本の浴衣を楽しみました。カンボジア人スタッフもかわいいと大絶賛、浴衣の帯の結び方にも興味を持ち、最後には着付けを手伝ってくれるスタッフまでいました。お内裏様工作体験では、自分で好きな柄の千代紙を選び、各々個性ある作品を真剣に作成し、とても良い作品が完成していました。

ジャパンハート メディカルチーム 看護師

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小児病棟でのイベントは単なる楽しみだけでなく、病棟の雰囲気を明るくし笑顔が増える時間となり、治療の意欲向上、他患児・スタッフの交流、家族との特別な時間を創出します。
また工作や絵を描くなどの創作活動は、子ども達の自己表現の機会となり心の成長につながるといわれています。特に小児がん病棟では限られた生活環境の中で外に行くこともできず、がんと闘いながら長い入院生活を送っています。子ども達のみならず、家族も共に病気と闘っています。そのような限られた入院生活、治療や検査によるストレスを、イベントを通して病院内でも楽しくなる時間を提供し、思い出つくりや気持ちをリフレッシュできるようにしていきたいです。また、ジャパンハートこども医療センターだからこそできる、日本とカンボジアの交流も図っていきたいと思います。

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白谷万葉

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