2019.10.16
知らない世界を知り、日本での日常が当たり前ではなかった。
▼参加して得たもの、苦労したことを教えてください。
一番苦労したのは、言葉の壁でした。スタッフ間は日本語も通じるスタッフも多く、正直ほとんど困ることはありませんでした。しかし、患者さんには現地のミャンマー(ビルマ)語しか通じない状況でした。日々ミャンマー語の本を見ながら、相手に必死に伝えますが、伝えられても返答の理解は難しく、現地のスタッフと協力しながら医療行為にあたってきました。
いままでの看護師経験の中では、ほとんど麻酔管理中の患者さんの看護をしていたため、直接病棟のようにコミュニケーションをとることが少ない環境にありました。現地では言葉が通じない環境でも、日々しっかり患者さんと向き合う時間も多く、常に自分にできる事を探しコミュニケーションをとってきました。手術前後の不安でつらい中の関わりでも、気づけば頼ってくださり、近くで必死に話しかけてくださる事が日に日に増えていく事を実感し、とても嬉しかったです。
日本にいた頃には日々忙しい業務の中でなかなか気づけなかった、〝向き合う相手にどんな時でも希望を忘れずに笑顔でいてほしい!"という思い。看護師として私が一番大切にしていたものに再度気づくきっかけになりました。
また、日本の常識では全く通用せず、現地の病院に入ったからにはそこのやり方に従う必要がありました。ミャンマーでは、まだ十分に医療環境も整っていなく、医療物資も1つ1つが貴重でした。衛生・不衛生の境界線も最低限に守られている程度でした。日々五感を使いながらモニターに頼らない根拠のある看護が求められていました。その限られた環境の中で、今まで培った知識と経験を最大限に生かせるように日々心がけていました。また、実際に私たちが現地に入りいろいろな事を学ばせてもらってばかりでしたが、今後の事も考えると、教えてもらうだけでなく時に伝えることで、今後のミャンマーの医療の発展に貢献していくことも大切だと痛感しました。
▼今後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします。
もし、自分がちょっとでもやりたいと感じている事があるのならば、自分の心の声を大切に、最初は怖いと思いますが1歩踏み出してみてください。自分の今の慣れた環境を少し離れて見ることで、新しい視野がひろがり活動範囲も増えてきます。
そこに行ってみると、同じ志を持った人がたくさんいて、たくさんの刺激をもらい、今後の可能性も感じ、何より看護師としてではなく人としての在り方を見直すきっかけとなりました。最初は、現地にいっても自分には何もできないし、事前にオペミッションの過酷さを聞いていたので、邪魔になってしまうのではないかと思っていました。しかし、自分にしかできないこともあり、これがしたいと言えば機会を与えてくださいました。
もし、少しでも悩んでいるのならば、悩んでいるよりもやって無駄なことはないので是非挑戦してみてください!
井之上 綾様
(8/1~8/10ミャンマー手術活動・術後管理コースに参加)看護師