参加者の声

長期・短期ボランティアや研修に参加されたみなさまの声をお届けします。

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2020.03.02

経験はお金では買えない財産

歯科医師 ボランティア 経験はお金では買えない財産

▼参加して得たもの、苦労したことを教えてください。

 コミュニケーションには非常に苦労しました。伝えたいこと、聞きたいことを翻訳した資料を持参しましたが、読んでもらって伝わってるのかは全くわかりませんでした。そこで現地スタッフの声を録音したものを活用してみましたが、そこで感じたことは言語が大事なわけではなく表情や身振り手振り、伝えたい気持ち、理解しようとする気持ちを強く持つことがものすごく大事だということでした。

思いを持って伝えようとする気持ちが、相手の理解したいという気持ちを強くする、そうすることで違う言語であっても理解し合える部分があるのではないかと感じました。

 また今回診察した患者さんの多くは歯科受診歴のない患者さんでした。自分の一つの言動、ちょっとした表情の変化や行動が患者さんの歯科のイメージを決めてしまうかもしれない。だからこそ常に真摯な姿勢で患者さんに向き合わないといけない。そう思いながらも自分なりの歯科医療を患者さんに伝えたらいいだろう。そうしたら喜んでもらえるだろうと安易に考えていました。しかしそんなことは決してなく、戸惑いの表情を浮かべたり、こんなことはできないと言われることもありました。ただ自分の知っている日本の歯科医療を伝えれば何でも喜んでもらえるというのは間違いでした。

これは途上国に限らず日本でも同じですが、吉岡先生が常々、おっしゃっている医療者は患者さんに育てられるというのはまさにこのことだと身をもって実感しました。

 吉岡先生の背中を追いかけてミャンマー、カンボジアの2カ国のミッションに参加しましたが、1カ国目のミャンマーでは自分の甘さを痛感する瞬間がありました。限られた時間の中で精一杯、活動しようと決めて参加したのに、歯科の活動を終えると自分のやれることが終わったような気分になっていて、この活動には資格がなくてもできることがたくさんあることに気付けていませんでした。そんな心残りがないように2カ国目のカンボジアでは自分から積極性を持って主体的に歯科以外の活動にも取り組むことを心掛けました。まだまだできることがあることに気付けたことは今回の活動を通して得られた経験であり、今後の課題でもあると思っています。

 今回の活動では日本の先生よりご寄付頂いたものやお借りしたもの、使用させて頂いた資料など様々な方の助けをお借りして活動をしていました。歯科医療従事者は1人でしたが、通訳や外来、手術、レクチャーの準備など活動に協力頂いたジャパンハートの皆様、活動に賛同、協力頂いた先生方、ご寄付を頂いた支援者の皆様、そして自分の話を一生懸命、理解、実践しようとしてくれた患者さん、信頼して身体をあずけてくれた患者さんのおかげで本当に何事にも変えががたい充実した時間、経験をさせて頂いたと感じています。

 自分にとってジャパンハートの「医療の届かないところに医療を届ける」という理念は、1人の患者さんに伝えたことがその方を通じて多くの人々に伝わる「医療の届かないところに医療を届けてもらう」という形なのかなと感じました。

▼参加前のイメージと実際との違いはありましたか。

 ミャンマーではどこかのスペースを借りて記録をとりながら歯科検診をメインで行うイメージでしたが、検診より病棟を回って患者さんに話をしたり、歯磨き指導をしたり、スライドを見てもらったり開けた病棟だからできる活動ができました。

 カンボジアでは検診や歯磨き指導に加えて治療器具を持参して虫歯治療を中心に行なう予定でしたが、歯科領域の手術にも参加させて頂き、参加前には想像がつかなかった幅広い活動をさせて頂けて、非常にいい経験となりました。

 どちらも参加前のイメージとはいい意味で大きな違いがありました。 また病院スタッフ初め、個性豊かな短期ボランティアのスタッフと空き時間にお話しさせて頂いたことは参加前には想像していなかった充実楽しい時間でした。

▼今後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします。

 参加してみて考えること、感じることは様々かと思いますが、日常生活では得られがたい経験ができます。経験はお金では買えない財産です。活動に参加してみると自分自身を見つめ直すいい機会になると思います。是非、ご参加ください。

飯田 晃久 様
(1/24~1/28ミャンマー手術活動に参加)歯科医師