VOICE
【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】おしゃべり喫茶企画に参加して
ジャパンハートのRIKAjob災害支援スキーム(平時は離島へき地で勤務し、有事はジャパンハートで災害支援に赴くプログラム)で対馬病院に勤務し、5月の能登半島中長期支援活動に参加をさせていただきました、助産師の波田野です。
今回は2回目の参加となります。
昨年12月にお会いした方々がどう過ごされているのか、地震と豪雨災害で被害にあった地域がどうなっているのか、自分の目で確かめたいと思い参加させていただきました。前回の参加があるため、その経験や感じたことを思い出しながら活動できたように思います。
また以前と少し違い、住民の今後の生活を考え、セルフケアに特化した支援ということで、継続した支援の必要性と限られた時間での支援の限界をそれぞれに感じました。
倒壊したままの家屋や豪雨で崩れ落ちた道路、露わになっている山肌は無数にあり、今もなお被災の物々しさを残しており、それをどうにもできないことへのもどかしさを感じました。
今回は特に「血圧」・「食事」・「内服」・「運動」・「医療因子」について対話を通して一緒に考えることに重きを置いたことで、住民の方々が健康リスクを自分のこととして意識づけすることに少しでも繋がったと思います。また、新たに訪問リハビリテーション活動もスタートされており、リハビリスタッフと共に訪問することで、リハビリをしている最中に看護師がご家族から体調や現在の状況などお話を伺うなど分担ができました。
お話を聞くことしかできないことにもどかしい気持ちもありましたが、お話し好きの方が沢山おられたので、話してくださる会話の内容や声のトーン、表情などから得られることも多くあると感じました。
昨年12月は今の気持ちや現状をお話しされる方々が多かった印象に対して、今回は半壊した自宅を改修して住めるようにしているという方や、全壊して更地にしてしまったので今後行く場所を探している最中という方が多く、月日が経って今後の生活に対して口にされる方が多いと思いました。自分自身の大事な人を失った日と重ねながら、現実を受け入れて一歩ずつ前を向いていくしかないのだと痛感しました。
高齢独居や高齢ご夫婦世帯でも、必要なサービスやサポートが行き届いている世帯が増えた印象も受けました。ある仮設住宅の敷地内には、色々な方が集まれる食堂と銭湯が一緒になった施設もできていました。その施設で地元のために頑張る若者の話も聞き、このような場所があることでコミュニティが広がり、人の温かさを感じることができる良い支援だと思いました。一方で、未だ孤立されている方やサービスが行き届いていない方もおられ、そういった方を見落とさないという意味でもこのような支援団体や活動があることは重要であると感じました。
また支援活動中の生活環境については、前回の経験もあり比較的慣れることが出来たものの、5月でも武道館での段ボールベッドや夜の就寝はとても寒く、活動中に入浴ができない日もあると聞いていたので、いつもの生活ができない経験をすることで改めて当たり前に生活を送ることができる有難さを再認識しました。
普段は病院で新生児から高齢の医療的処置を必要としている方々と関わる機会しかないため、知らない土地でその地域の方々と関われることは新鮮で、気持ち新たに色々なことを考えることができます。人とゆっくり関われる現場が好きなので、中長期支援があれば活動させていただくようにしています。12月にお見かけした方も多くいらっしゃり、住民の方からもこのカフェがあって外に出るようになった、友達ができたなど嬉しいお声も多く、自然災害が起きないに越したことはないものの、今後もこのような活動が続く限り、微力ながらも参加させていただくことができればと思っています。