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【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】2026年4月 サロン活動レポート
iER登録研修でジャパンハート職員の大内看護師からお誘い頂き、桜舞い散る4月の能登を訪れました。
大災害に見舞われた地も、春を迎えれば鶯さえずり川に魚が躍ります。潮騒を遠く聞きながら、青空の下の水田広がる里山の美しさに目を奪われました。
2日間で幾つかの集落を回り、医師として住民の高血圧・DVT・心不全等のスクリーニングに携わりました。
お役に立てたかは甚だ心許ないですが、体調に不安を覚えている方にお話を伺った後のホッとした表情は忘れられません。
事前の打合せで、「関わった方の一人でも、『来てもらえて良かった』と思ってもらいたい」と目標を立てていました。それが達成できたかは近日中に再度現場へ入る方々の判断に委ねたいと思います。
心に残ったのは発災から2年以上が過ぎているのに、尚、人々の間に漂う孤独感です。
両親が障害を抱え友達も周囲にいない小学生や仕事を失くしてアルコールに入り浸る男性たち、2度に渡る災害で死を待つように、病気を指摘されても受診をせず日々をやり過ごす高齢者。
その諦念と寂寥に胸が締め付けられました。
まだ倒壊した家屋が残る街並みを見ながら、もし自身が短期間ではなく長期間いられたら出来る支援もあるはずなのに、という思いを抱きました。
これは何も震災のせいのみでなく、僻地における日本の問題の象徴なのかもしれません。
実は震災の直後に輪島の福祉避難所に入り、診療に当たった経験があります。
その際も何ができたわけでもなかったですが、ある時に地元の方から深々と頭を下げられ、「支援に来てくださり有難うございます」と、医師として初めてと言えるほど、心からの感謝をいただきました。
自分たちの苦しみに対して、心を寄せてくれる人がいる。重要なのは知識よりも専門性よりも、そういうところにあると気づかされた経験でした。
世界で戦争が起き、国内でも貧しい人、苦しみの中にいる人が顧みられない現実があります。
世の中をまともにするのは政治でもシステムでもない。苦しい時に、誰かが手を差し伸べてくれることを信じられる安心感だと考えています。
能登の人々がいかにその人生を取り戻すのかということにこそ、私たちの未来を占う本質があるのではないでしょうか。
未曽有の災害に翻弄されながらも、それでも尚自らの境遇を受け入れて、明日を生きようとする現地の多くの人々に、私は畏敬の念を覚えずにはいられませんでした。
またもし機会があれば、活動に参加させて頂ければ幸甚です。

