参加者の声

長期・短期ボランティアや研修に参加されたみなさまの声をお届けします。

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2022.12.13

看護師としての幸せを感じた活動

▼ジャパンハートでの活動地(国内・海外)を教えて下さい。

〈国内研修〉
新潟県 山北徳洲会病院とコロナクラスター支援

〈海外研修〉
カンボジア(JHCMC)、ラオス

▼ジャパンハートでの活動期間

2021/05〜2022/11(国内活動半年/海外活動1年)

▼活動地での研修内容・経験したことを教えて下さい。

〈国内研修〉
山北徳洲会病院では外来・救急外来の配属。そして働きながら1ヶ月間の休職を頂きクラスター支援と自然災害支援に参加し合計で4県の場所で活動をさせて頂きました。

〈海外研修〉
カンボジアでは成人病棟と外来、手術室、モバイル活動にも参加しました。またラオスでの甲状腺手術ミッションに参加し、その中で居残りケア(ひとりっ子)を経験しました。

▼ジャパンハートの研修に参加を決めた理由を教えてください。

私は途上国の場で人の役に立つ仕事をしてみたい夢がありました。そんな時にジャパンハートと出会いました。
短期ボランティアに参加し患者さんに直接医療ケアがおこなえる事や現地の看護師と補い合いながら患者に最善のケアを考えられることに魅力を感じました。
看護の原点に戻り、じっくり患者さんと向き合いケアの実践や思考の過程を考える時間になると思いました。

▼参加までのハードルや、解決するべき課題など(仕事・お金・家族の説得など)

当時の職場から休職扱いで研修に参加するという選択もありました。
研修終了後も生活を安定させるという意味では有り難い話でしたが、私にとっては「何かあったら戻れる場所…」をキッパリと切り離し、この1年半に覚悟をもって臨みたいと感じ私は退職を選択しました。

参加が決まったあと、私は手術が必要な疾患を患い研修を延期することになりました。
気持ちの落胆が大きく、一気にモチベーションが下がってしまいましたが、回復するのを待っていますと言って頂けたことが救いでした。
予期せぬ延期に、モチベーションを維持することが大きなハードルでした。
いつ病気を患うかなんて誰も予測できませんが、健康面を整えておくことは参加するために必要な責任だと感じました。

▼言語・価値観が違う現地の方々、また駐在している日本の医療者との活動で困ったこと、また工夫などありましたら教えて下さい。

価値観の違いを困難に感じたことはありませんでした。むしろ無意識に自分の価値観を押し付けていたと感じます。
そんな時、現地のスタッフ達が助けてくれ気付かせてくれるのです。その違いの中で、どの様に自分の考えを伝えるかを沢山考えました。
私は特に英語も苦手だったため、コミュニケーションが大きな壁でした。その分、患者さん達とも非言語的コミュニケーションでの関係作りに励みました。
しかし、スタッフ達に自分の考えを伝える(ディスカッション)には言語的要素が必要になります。それは研修終盤まで私の大きな壁でした。
でも伝えたい気持ちを持っていれば、スタッフ達は最後まで耳を傾けてくれます。
当たり前のことかもしれませんが、常に謙虚な気持ちで聞く姿勢を大事にし、伝えたいという気持ちを持って関わりました。

▼現地医療の醍醐味は何ですか?

外来、手術、術後のケアそして退院支援、退院後の外来。
1人の患者さんが通る治療の段階全てに介入できることは、日本の職場では出来なかった関わり方です。「疾患理解」だけではなく、「人を診る・ケアする」ことに向き合える機会だと感じます。

私達研修生が何かを与えに活動しているのではなく、現地のスタッフと同じフィールドで「患者さんが良くなるために」を考えながら、意見交換したり、教えてもらったり、喜んだり悲しんだり…。一緒に切磋琢磨できる環境であることです。

カンボジアでは看護師寮で現地のスタッフ達と同じ環境で生活します。当初は不便だと感じたこともありましたが、人間の適応力が磨かれたと思います。
そしてまた家族ではない人と24時間一緒に住むことも初めてでしたが、他人を思う気持ち、生活の中で自身が大切にしていたこと…、さまざまな事に気付かされる機会であり、想像以上に楽しい生活でした。

▼活動地での忘れられないエピソードがあれば教えてください。

研修での醍醐味にも繋がりますが、ラオス活動でおこなった「居残りケア(ひとりっ子)」での毎日です。
その場に残る看護師は私だけという環境で、24時間ずっと患者さんや家族の側で過ごす経験もここでしか出来ないことですし、この期間の中で、自分で判断して実践するケアスタイルに重い責任や怖さを経験しました。
いつの間にか、自身の考えが先立ってしまい【本気で患者さんと向き合うこと】を忘れそうになりながらも、自分に何が出来るのか、患者さんに何が必要なのかを毎日毎日向き合い、繰り返し繰り返し患者さんと話しました。
術後の辛い時期に、異国のコミュニケーションも儘ならない人に診てもらうなんて…。そんな風に思われていてもおかしくありません。
それでも最後の退院の時期には、信頼関係が生まれたように感じました。
その時の幸せな気持ちは今も忘れられないし、今でも思い返すと色々な感情が入り混じり泣きそうになります。
この関わりに国境なんて関係ないし、私が看護師としての幸せや大事にしたい事に気付いたきっかけにもなりました。
それ以外にも、カンボジアでのクマエスタッフ達、患者さん達の心配り・優しさ一つ一つが、忘れられない思い出にあふれています。

▼帰国後はどのような活動をされていますか?(される予定ですか?)

国内活動では、コロナクラスター支援も並行して活動していたこともあり、僻地・離島医療の活動に少し心残りを抱えています。
またこの研修を通して、これまで数年医療者として携わってきても、初めて知る事、初めてやる事ばかりでした。
それは看護師のフィールドを超えたものもあります。でも全ては【患者さんのため】に繋がっています。
まずは僻地・離島医療の分野に挑戦し、日本の現状をもっと目にしていきたいと考えています。

▼今後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします。

私がはじめてジャパンハートを知り短期ボランティアに参加してから、この研修に参加するまで約5年かかりました。
職場のことお金のこと家族のこと一歩踏み出す自分自身のこと。
また私が参加する時期はちょうどコロナ禍の時期。さまざまな悩みやしがらみに自分なりのケジメをつけて今回参加に至りました。
人それぞれ参加するタイミングは違えど、一歩踏み出したその先に得られるものはとてつもなく大きいと思います。
もちろん参加中も色々なタイミングで悩んだり、自分自身と向き合う苦しい時間があります。苦しさに潰されそうになる仲間もいました。
この活動は苦しいけれども、いつしか幸せだと感じることの方が大きくなり、人生の中で貴重な時間の日々だったと感じます。
ぜひあなたにも、そんな日々を感じてもらいたいです。
(カンボジアではとっても美味しい、マンゴーとドラゴンフルーツが待っていますよ!)

国際看護師研修 58期生 坂本真南 様