参加者の声

長期・短期ボランティアや研修に参加されたみなさまの声をお届けします。

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2024.09.05

看護師になってよかった、思い切って挑戦してよかった

▼ジャパンハートでの活動地(国内・海外)を教えて下さい

国内活動地:山形県新庄徳洲会病院
海外活動地:カンボジア
災害支援:能登半島地震避難所

▼ジャパンハートでの活動期間

2023年1月〜2024年8月

▼活動地での活動内容・経験したことを教えてください

国内活動では、外科病棟にて6ヶ月勤務をしました。どうしたら新庄へ人を呼び込めるか話し合い地元の魅力について広報活動を行ったり、より働きやすい環境づくりのため業務改善にも取り組みました。

海外活動では、手術室に3ヶ月、一般病棟にて7ヶ月、ひとりっ子活動(現地の農村部の病院にて日本人1人で滞在すること)を2回に分けて合計2ヶ月、活動させていただきました。

その現場の課題やニーズを掴み、私に何ができるか考えて勉強会や話し合いの場を作ったり、SSIチームを作りどうしたら術後のSSIが減少するか今後の取り組みについてディスカッションを行いました。

また、音楽イベントを企画しカンボジア人医師や看護師も巻き込み、小児病棟の子どもたちへの音楽レクチャーやコンサートを作り上げました。
カンボジアにて活動中に能登半島地震の被災地支援にも行かせていただき、医療から福祉へとニーズが移り変わる中での支援のあり方や、支援者さんも被災者であるため支援者さんのサポートについても考えるきっかけになりました。

▼ジャパンハートの活動に参加を決めた理由を教えてください

私が看護師になりたいと思ったきっかけはテレビで見たマザーテレサでした。
彼女のように国境を超えていろんな人に寄り添える人になりたい。
地元の病院で3年ほど働いた頃、将来は国際医療に携わりたいという夢にそろそろ挑戦したいなと思い、いろんな団体を調べていたところジャパンハートに出会い、活動への参加を決めました。

▼参加までのハードルや、解決するべき課題など(仕事・お金・家族の説得など)

前職場の同僚はとても熱心で良い人ばかりだったのですが、常に人手不足で忙しい病棟だったため、その中で退職の希望を伝えることはとても心苦しかったです。
でも、ここでしっかり自分の覚悟を伝えて行動に移さないときっと後悔する。
そう思ったので何度も師長さんと話をし、最後には熱意と今までの感謝を笑顔で伝えることができました。

▼言語・価値観が違う現地の方々、また駐在している日本の医療者との活動で困ったこと、また工夫などありましたら教えて下さい

国内活動地では現地の方言がわからず最初は患者さんの言っていることがわからないこともありましたが、現地スタッフが優しく教えてくれて少しずつ理解することができました。
カンボジアでも最初の3ヶ月が手術室での活動であったため、初めての知識を慣れない英語で教わることの難しさや伝わらないもどかしさを常に感じていました。
その中でもクマエスタッフが諦めずに教え続けてくれたり、相談に乗ってくれたりしたこと、そして自分の中で「成長したい」「1年後なりたい自分に近づくために諦めたくない」という意志があったからこそ乗り越えることができたと思います。
現地の農村部の病院にて2ヶ月ひとりっ子活動をさせていただきましたが、通訳さんがおらず英語が伝わるスタッフも少ない中、日本人1人で活動するのはうまくいかずつらいこともたくさんありました。
それでも諦めずに声を掛け続けて、一緒に活動する中で提案やディスカッションを続けていたら、自然と信頼関係が築けてきて向こうから相談されるようになったり、相手からの意見も引き出せるようになっていきました。

▼現地医療の醍醐味はなんですか

育った環境も価値観も違う仲間たちと共に活動する中での難しさや大変さはありますが、それ以上にそこをどう乗り越えるか考えお互い歩み寄っていった先にある達成感や強い絆はここでしか得られないものだと思います。

また、元々働いていた病院では常に忙しく患者さんひとりひとりについて考える時間や私自身の心の余裕も無くなっていて、いつしか看護が業務的になってしまっている私がいました。
私は今日受け持った患者さんに何がしてあげられただろうか。もっと時間をうまく使って話を聞く時間を作りたいのにできない…。そんなもやもやがありました。

新庄に来て、忙しい中でも患者さんのADLを改善しようと時間を作って車椅子に離床させて雪景色を見せていたり看護助手さんと協力して活き活きと働く現地スタッフの方々を見て、私が忘れかけていたものを思い出させてくれました。

また、カンボジアでは病状が悪化してから病院に来る人、腫瘍や壊疽が広がってからここへ来る人が多く、初めて見る疾患もあり、その中で看護師がアセスメントしてこの患者さんに何が必要か考え話し合う、ということに不安を感じていました。
それと同時に日本でいかに自分が他の人に判断を委ねていたか痛感しました。自分で考え、目の前の患者さんに何ができるか考え続けること。それはここへ来たからこそ気づくことができたし、成長するきっかけになったと思います。

▼活動地での忘れられないエピソードがあれば教えてください

カンボジアで、唇の下の腫瘍を摘出後に創が閉じず、穴が開いてしまった患者さんがいました。
唇の下の穴なので飲んだ水もそこからこぼれてきてしまう。再手術して縫合するにも皮膚が足りない。
せっかく手術をしたのに今は満足にごはんも食べられていないという患者さんに必要なケアは何か?を他スタッフとも話し合い、まずは創傷治癒を促進するために栄養状態の改善が必須だということで、栄養士さんと一緒に栄養指導を行いました。
口腔内の清潔を保つのも必要ということで、スポンジブラシを使って愛護的にケアをすること、創部の洗浄方法も一緒に鏡を見ながら指導しました。
患者さんと家族の協力もあり、退院後外来フォローに来たときにはだいぶ創も小さくなっており、ごはんもちゃんと食べてるよと笑顔で話していて嬉しくなりました。

▼帰国後はどのような活動をされますか?(される予定ですか?)

まだ決めていませんが、まずは自分のやりたいことを書き出して、ひとつひとつ挑戦していこうかなと考えています。
看護師として海外で働くことにとてもやりがいと楽しさを感じたと同時に、もっと日本のことや海外のことについて勉強してからまた現地に足を運びたいなという思いもあり、しばらくは日本で自分と向き合う時間を作りたいなと思っています。

▼今後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします

少しでも興味を持ったのなら、今がタイミングだと思ったのなら、その思いを大切にして、思い切って挑戦するべきだと思います。
未知のことに挑戦するときは誰しも勇気がいります。不安や迷いもあると思います。
でも、そのハードルが高い分、現場に飛び込んで得られた経験や達成感も大きいです。
成長したい、世界の医療を知りたい、夢を叶えたい…活動への参加を考えるきっかけとなった自分の芯にある思いを大切にして、その思いと向き合って、まずは挑戦してみてほしいと思います。
私は心からこの活動に参加できてよかったなと感じています!