参加者の声

長期・短期ボランティアや研修に参加されたみなさまの声をお届けします。

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2024.11.05

途上国での医療を志して、次の目標を見つけることができた医療活動

中学生の頃に、途上国での医療活動を知る機会があり、人生の目標になりました。
途上国の医療支援の方法は緊急支援から国際保健まで様々ですが、私は医師として自分の手で直接患者さんを救いたいと思い医師を志しました。

ジャパンハートを知ったきっかけは、2018年、初期研修医の時にお世話になった先生の一言でした。
医療の届かないところに医療を届けるという団体の理念に共感し、すぐに短期ボランティアに応募してミャンマーに行きました。
ミャンマーでは吉岡先生と直接話す機会もあり、専門科は非常に悩みましたが日本に軸足を置いて活動を続けるには産婦人科が途上国との親和性もあり最も良いと考え、手術も好きだったので産婦人科にしました。

産婦人科後期研修中に、産婦人科部門のあるカンボジアへ短期ボランティアに参加しました。
石田先生の手術に入らせていただいたりして、いつか、長期で参加することが目標になりました。

活動の場としてジャパンハートを選んだのは、団体の理念に共感したことや、短期ボランティアでお世話になったからということもありますが、家族の理解を得られやすかったこと、帰国後も国内でサブスペシャリティの研修を続けたかったので、行く期間や時期も相談に乗っていただけることが理由としては大きかったです。

今回の半年間の活動では、産科と婦人科領域の多岐にわたる分野で活動させていただきました。
婦人科では、週に7日毎日外来があり、遠くは国境付近から10時間もかけて医療を求めてくる患者さんなどたくさんの患者さんの診療にあたりました。

緊急を含め手術も行い、森川先生が若手カンボジア人医師の指導に当たる姿は大変勉強になりました。
産科は、併設するポンネル病院の後方支援的な立ち位置だったので、現地産科医のコンサルト先として、また、産科医がいない日もあるので時にポンネル病院の産科医として、基本的に毎日24時間オンコールで対応をしました。

輸血の数が限られていたり、手術室が使えない日もありますが、助産師やカンボジア人医師、看護師と協力して数多くの難症例への対応や緊急帝王切開も行いました。

そうした支援に並行して、周産期に関わる様々なレクチャー、NCPR、地域のヘルスセンターへの巡回業務などを助産師と協力して行いました。
活動中に、年明けからポンネル病院が帝王切開を始めるため指導や準備の依頼があり、まずは術前、術後管理ができるようになるため支援の計画を立て、実行しました。

半年間の活動では、実臨床業務に加えてマネジメント業務もあり、初めてでしたが大変良い経験となりました。
現地で持続可能な医療でなければ意味がないので、特に産科に関しては現地医師、助産師と良好な信頼関係を築き、こちらの助言を聞き入れてもらうこと、現地でのスタンダードはなにか考え方まで詳細に教えてもらうことが最も大事なことだったのではないかと思います。

日本のやり方がすべて正しいわけではないので、一つ一つ、彼らの性格から使用可能なリソースまでを考慮して、押し付けるわけではなく共に考えて進めていけたのがよかったです。

婦人科に関しては、森川先生がカンボジア人医師を育て、手術のレベルが非常に高く私が助けられることも多くありました(緊急などで)。

今後は臨床でさらに質の高い支援ができるよう、日本で知識と技術を更に磨いていきたいと思います。
また、途上国開発や母子保健等について系統的に一度学んでみたく思っています。

さらに、さまざまな薬剤の使い方などでエビデンスのないまま過剰に使っている場面など見られたので、臨床研究の基礎を学び、状況が異なる場ではどういう使用方法・用量が適正なのかなど調査してみたいと思っています。
そのために、臨床医としての修練に並行して公衆衛生を大学院で学ぶ予定です。

ジャパンハートで活動を考えている方へ

産婦人科に関していうと、現地で専門性を発揮して思いっきり働こうと思うと、専門医を取得して数年の臨床経験が必須と思います。
自分の実力を過大評価も過小評価もせず、慎重に診療を行う姿勢が必要だと思います。

また、日本にいるうちに他のNGO団体主催で途上国での周産期医療のワークショップが開かれていたりするので、アンテナを張っていろいろな情報を入手しておくと、引き出しとして役に立つと思います。

現地ではシュミレーション教育の普及が乏しいので、NCPR、ALSO、JCMELなどいろいろ受けておくと、タイミングがあれば開催できるのでよいと思います。
だたし、日本で行われていることが現地ですべて正しいわけではないので、よくコミュニケーションを取って関係性を築き柔軟に対応する姿勢が必要だと思います。

長期ボランティア(現メディカルチーム)医師/産婦人科医
近藤 好美