2025.03.17
患者さんと本気で向き合う中で見えたもの
▼ジャパンハートでの活動地(国内・海外)を教えて下さい。
国内:長崎県対馬病院
海外:カンボジア
▼ジャパンハートでの活動期間
2023年7月〜2025年2月
▼活動地での活動内容・経験したことを教えて下さい。
▪️国内活動地の対馬病院では、外科・内科・血液内科・産科の混合病棟で勤務していました。また日々に業務の他、看護師不足に関する対策を病院の方々と一緒に考え、外部からの視点としてさまざまな意見を発信させていただきました。また訪問看護も経験させていただき、離島ならではの温かい看護を学ばさせていただきました。
▪️海外活動地では成人病棟・小児病棟・オペ室での日々の看護やひとりっ子(地方の病院で日本人1人で滞在し医療活動を行う活動)を経験しました。
またWorking groupの中のSSIチームとして活動し、JHMCMで手術を受ける患者さんの術後創部感染の発生率の低下を目指し、勉強会やサーベイランスなどを実施しました。
ひとりっ子活動先では、BLSの知識と技術の定着を目指し、BLSチームの発足、レクチャーの実施、BLS人形のドネーションなどを行いました。
▼ジャパンハートの活動に参加を決めた理由を教えて下さい
中高生の頃から国際医療に興味があり、大学生の頃にジャパンハートの学生団体に所属していました。
社会人になり、医療資源の恵まれた環境で働く中で、その1つ1つのものがなくなった時、自分にどこまでの看護ができるのだろうと思うようになりました。
そして、どのような環境でも目の前の患者さんに最善の看護を提供できる看護師になりたいと思い、この活動への参加を決意しました。
▼参加までのハードルや、解決するべき課題など(仕事・お金・家族の説得など)
▪️仕事面:
前職場では、人手不足はありましたが、私のやりたいこと、挑戦したいという気持ちを応援してくれる環境でした。
▪️お金:
金銭的負担は大きいですが、参加を考え始めた時点で、参加費用と終了後の生活費用に目処がつきそうだったので参加を決めました。
▪️家族:
1年間の海外生活に対して、両親の心配は大きかったですが、大学生の時にJHのスタディーツアーに参加したことや、現地に他日本人スタッフもいることなどから反対はありませんでした。
▼言語・価値観が違う現地の方々、また駐在している日本の医療者との活動で困ったこと、また工夫などありましたら教えて下さい。
クマエスタッフは本当に優しく、快く迎え入れてくれるため、大きな抵抗感や壁などはありませんでした。
若手スタッフや新人のスタッフも多く、日本とのギャップやアセスメントなどで戸惑うこともありましたが、毎日一緒に過ごす中で、一人一人の性格や、得意なこと不得意なことなどが見えてきて、関わり方が分かっていった気がします。
日本の医療者の方ともたくさん一緒に活動する機会がありましたが、同じ国際医療を目指して集まった日本人の中でも本当に色々な考え方があり、刺激が多かったです。
▼現地で医療をする楽しみ、醍醐味はなんですか?
言語や文化が違うからこそ、毎日色々な感情になる中で自分の大切にしていることに気づくことができました。
クマエスタッフと“看護”について一緒に話す時間がとても楽しく、学ぶことも多かったです。最初は伝えたいことがうまく伝わらずモヤモヤすることもありましたが、諦めずコニュニケーションをとることで、次第に同じ方向を向き、物事が進んだ時は達成感ややりがいを感じることができました。
また、実際に現地に暮らすことで、患者さんの生活背景や社会的な問題などを知ることができ、自分の看護の幅が広がったと思います。
▼活動地での忘れられないエピソードがあれば教えて下さい。
地方の病院でひとりっ子活動中、ヘルニア術後で合併症が発症してしまった患者さんがいました。何が考えられるのか、どう行動するべきか、現地の医療スタッフとどうコミュニケーションを取れば良いのかなど自分にできることを最大限に考えて行動し、最終的に、患者さんの症状が改善し、笑顔で帰っていったときは本当に嬉しく、看護師になって良かったと思いました。
▼帰国後はどのような活動をされていますか?(される予定ですか?)
今後のキャリアについてはまだ未定です。
この1年半の活動を通し、チームで目標を達成すること、また患者さんや患者さんを支える家族の精神的なサポートを大切にしたいと強く思いました。
どのような選択をするかまだ分かりませんが、この1年半で得たものを最大限に活用し社会に還元していけたらと思います。
▼今後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします
キャリア、金銭面、ライフプランなどさまざまなハードルがある中で、1年半という長期間の活動への参加を迷われる方は多いと思います。しかし私は、参加した後悔より、参加しなかった後悔の方が5年後、10年後長い目で見ても絶対に大きいと感じ、勢いで参加を決めました。
参加してみると、医療・看護・言語の学びだけではなく、さまざまな問題を解決する思考法や実践方法を学ぶことができ、またそれを日々の中でアウトプットし活用できるようになったことだけでも参加して良かったと強く感じます。
看護師
中村 砂織