VOICE
「繋ぐ」と向き合った1年半
▼ジャパンハートでの活動地(国内・海外)を教えて下さい。
国内:長崎県 対馬病院
海外:カンボジア
▼ジャパンハートでの活動期間
2024年8月~1月(半年) 長崎県 対馬病院
2024年2月~2025年2月(1年) カンボジア
▼活動地での活動内容・経験したことを教えて下さい。
【国内】対馬病院
主に外科・内科・産婦人科病棟で活動。
隣接されている訪問看護ステーションにて訪問看護(1ヶ月)を経験。
▪️対馬プロジェクト(人材確保のためのプロジェクト)
・SNSでの病院や土地の名産品、観光地などを紹介しながら広報活動
・課題や現状についてのミーティングを月1回実施
【海外】カンボジア
▪️Phase1(成人病棟)で入院病棟+外来で勤務。
・ヘルニアや虫垂炎、乳がん、甲状腺がんなど、手術を必要とする患者さん
・交通外傷や糖尿病壊疽による創部処置
・術前準備(採血/心電図などの検査)~術後(術前+術後管理)~外来でのフォロー
▪️モバイルミッション(地方の病院へ行き手術活動を行うこと) 合計3回
JHのスタッフ(クマエスタッフ+日本人医師)と現地病院のスタッフと術前の診断~手術活動~術後のフォローアップを実施。
技術移転や知識向上のための勉強会なども実施。
▪️ひとりっ子(現地の病院に駐在し、患者のケアを現地のスタッフと行うこと) 合計2回
約1ヶ月ほど駐在し、JHがそこで行ったミッションの術後ケアを担当。
最後の患者さんのフォローアップが終了後には、現地の病院で入院している患者さんのケアに一緒に入ったり、転院搬送したり、お産を見学したり、救急カートの整理を実施。
▪️ワーキングチーム(早期離床チーム)
・離床の必要性や術後合併症のレクチャーをクマエスタッフと一緒に実施
・術後1日目~ 集団リハビリをクマエスタッフと実施
▼ジャパンハートの活動に参加を決めた理由を教えて下さい
大学の頃にカンボジアに学校建設のボランティアに参加したことがありました。その時にいつか、看護師としてカンボジアで携わりたいという夢を持ちました。
コロナ期間や看護師3年目頃より、今後の看護師人生を考える上で迷っていた時期もあり、もう一度原点に立ち戻り向き合いたいと思いました。
その時にジャパンハートをSNSで見つけ、説明会に参加したり、参加者のブログを読んでみて、もう一度本気で向き合いたいと感じました。
参加するまでには2年ほど迷いなかなか決断ができませんでしたが、今後のライフステージや今の自分の気持ちを考慮し、限りある時間の中で自分にとって価値のある経験になるのではないかと感じ最終的に参加を決断しました。
▼参加までのハードルや、解決するべき課題など(仕事・お金・家族の説得など)
▪️仕事:
総合病院で働いており、人手不足の中辞めることはとても心苦しかったです。
しかし、やりたい気持ちを師長さんに1年前ほどから伝えていたため、スムーズに承諾していただきました。とても感謝しきれません。
▪️お金:
貯蓄に余裕があればよいとは思いますが、お金を稼ぐことはいつでもできると思います。
私は活動費と帰国後に必要な貯金を分けて考え、自分なりの限界ラインは決めていました。
▪️家族の説得:
両親にはとても心配されましたが、自分のやりたい気持ちをしっかり伝えました。
なかなか会えない距離になるため、しっかりと話し合われた方がよいと思います。
▼言語・価値観が違う現地の方々、また駐在している日本の医療者との活動で困ったこと、また工夫などありましたら教えて下さい。
医療に対しての認識の違いや医療者としての責任の感じ方などに対して、驚くことはたくさんありました。
最初はことの事実だけを見てしまい、どう関わっていけばいいのか分からない時期もありましたが、ことの背景を考えたり、相手に関心を持ち対話し同じ目線で考えともに行動していくことで解決していったと感じます。
同じ志を持って参加している日本の医療者とは、最初の頃は自分と比較し、自信を失ってしまうことがありました。
仲間と対話したり、活動を続けていく内に、自分のペースでいいのだと気づきました。
互いに違う目標を持っているからこそ、モチベーションがあがることも多く、1人では叶えられない可能性を広げることができた瞬間はとてもかけがえのないものだと感じます。
また、自分のやりたいことを言語化すること、そしてそれを伝えることでより、可能性が広がっていきました。
▼現地で医療をする楽しみ、醍醐味はなんですか?
活動している最中は、なかなか目に見えて結果が現れることは難しいです。
何か大きなことを成し遂げなければという使命感というものもなぜか感じてしまい、何もできないという虚無感に陥ったこともありました。
それでも、今のこの瞬間に自分が関わっていた事実が、何ヶ月後、何年後、何十年後かに必ず繋がっていると感じた瞬間があります。
なぜなら、今ここにあるものは何年もの時間をかけて日本人とクマエたちが作り上げてきた物だからです。
カンボジアに来た当初に、右も左も分からない新人の看護師と共に働き、成長を感じる瞬間も、0から初めて少しずつ形になっていく達成感、共に過ごしたからこそ得られるクマエ(カンボジア)スタッフとの信頼や現地で作り上げていくということがとても面白かったです。
自分で考え、向き合い、判断する。それがよくも悪くも直に返ってくる。そんな環境だからこそ、より深く向き合えたのだろうと感じます。
▼活動地での忘れられないエピソードがあれば教えて下さい。
訪問看護と出会えたことです。対馬で1ヶ月間、携わらせていただき1人1人と向き合う時間にとても惹かれました。
そこから在宅と医療を繋げられる関わりがしたいと思うように思い、この活動のテーマが「繋ぐ」となりました。
カンボジアでも、ケアの継続が必要とされる患者さんに対し、訪問看護に2回行かせていただきました。
家での笑顔や退院後の生活をより深く知ることができ、現実的な生活に寄り添ったアプローチを考える様になりました。
▼帰国後はどのような活動をされていますか?(される予定ですか?)
今後の明確な活動を決め切れていていない状況です。この1年半の活動から、自分は1人1人と向き合える距離感や在宅と医療を繋げられる働きかけができたらいいなと考えているため、地域医療や在宅へと進みたいとも考えています。
お出かけ支援などにも興味があるのでスマイルスマイルプロジェクトにも参加できたらいいなと考えています。
▼今後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします
1年半という活動を決断することは、とても大きく不安もたくさんあると思います。
私も2年も悩みましたし、決断した後も活動が開始するまでは、正直これでいいのかと迷うこともありました。
活動を終えた今、確実に言えることは人生で1番充実していた1年半であり、経験こそ財産と思います。
迷うことも、振り返ればそのことが今の自分に必要であったと思います。
やりたいことが明確であればあるほど、より活動に面白みが増し、充実すると思うので、もし迷っている方がいるのならば、活動している時の自分を想像し具体的に言語化していくことをおすすめします。
1歩踏み出した先には、同じ志を持った仲間がいます。
まだ、知らない世界の中に飛び混んだ先には、これほどまでに自分と向き合い、相手と向き合い、いのちと向き合える時間がありとてもかけがえのない時間です。
自分の憧れた世界や、こうなりたいという理想像、何か力になりたい、そんな自分の気持ちを大切にしてください。
皆様のその大切な気持ちにそっと背中をおすことができたのであれば幸いです。
看護師
藤澤 優里花