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▼はじめに
「ジャパンハートこども医療センター」での活動を始めてこれまで、カンボジアスタッフに対して2024年6月輸血時交差試験(クロスマッチ)レクチャーを行い、本年2月・6月にミャンマーに赴きスタッフに対して腹部・甲状腺・心臓エコー、クロスマッチ、心電図の各レクチャーを行いました。特に心電図判読レクチャーはベーシックとアドバンスとして心筋梗塞波形を理解してもらおうと準備しレクチャーしました。

今回、カンボジアスタッフに対して心電図波形をより理解してもらおうとミャンマースタッフに行った同じ内容をレクチャーしましたのでその様子を紹介します。
臨床検査技師活動報告㊳ カンボジアスタッフへの心電図判読レクチャーを開催して

▼心電図レクチャー
レクチャーは7/7(月)・7/14(月)の夕方2回開催しともに同じ内容で30分程度講義しました。内容は基礎として心電図の意味、波形の特徴及び名称、電極の装着位置、そして心電図12誘導が心臓のどの部分を示しているか紙コップを用いて説明しました。この紙コップを用いる説明は医療専門チャンネルの教育動画がヒントとなり、これは視覚的に障害が発生した場所が心電図から判読する際わかりやすいと実感し取り入れてみました。また基礎よりやや進歩的内容として、心電図判読において見逃してはならない心筋梗塞波形について解説しました。

初回は約30名のスタッフの参加がありレクチャーを熱心に聞いてくださいました。ただのスライド聴講だけではどうしても理解しづらい点も紙コップを使用し参加者自身が手を動かすことはとても心臓を立体的にイメージすることに役立ったと思いました。初回の質問はどうしても理解しづらい電気信号の流れと描かれる心電図波形の関係についての質問でした。説明するのも難しかったですが基本を繰り返し説明することで少しは理解していただいたような気がします。

2回目は初回を上回る約50名のスタッフの参加がありました。初回参加者で2回目も参加してくださったスタッフが10名程いてこの熱心な姿勢には驚かされました。合計でのべ約80名のスタッフがこのレクチャーに参加し今回このように実施できたことは自身としてもたいへん満足できる企画であったと思いました。2回目のレクチャーの最後には前回いただいた質問に関しておそらくわかりにくい点は参加者みなさんも同じであろうと思いスライドを使って説明しました。レクチャー終了後、参加したカンボジア人医師2人より「よく理解できた」と、また2回参加した看護師さんより「より心電図判読に関してイメージができた」という声をいただきました。また別の参加者からは「心電図判読は難しいけれど興味が湧いた」ととてもうれしい言葉もいただきました。
臨床検査技師活動報告㊳ カンボジアスタッフへの心電図判読レクチャーを開催して

▼おわりに
カンボジアでのボランティア活動も残すところ数ヶ月となり私にできることはルーチン業務の継続とスタッフへの臨床検査に関わる基本事項や院内感染防止対策に関わるアドバイス及びレクチャーと思います。今回のように看護師さん向けの基本に加え医師向けのより進歩的な内容も活動中に企画しレクチャーできればいいと思っています。
臨床検査技師活動報告㊳ カンボジアスタッフへの心電図判読レクチャーを開催して

ジャパンハートこども医療センター 
臨床検査技師 森 三郎