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▼はじめに
「ジャパンハートこども医療センター」でのボランティア活動が2024年12月で1年が過ぎました。1年間の活動についてはメディカルチーム医療者ブログ(No.24)にて検査室、院内・院外活動に分けて記載し、私の活動状況については団体HPを通じて発信しました。

それとは別に創設者の吉岡秀人先生が毎月ミッションと呼ばれる集中手術のため数日カンボジアに来られ、毎朝先生にボランティア看護師さんが症例提示し、先生のご意見を伺う朝会と呼ばれる機会があり、今回私も1年間の活動経過を先生に報告しました。その際、私の今後の目標として院内のカンボジアスタッフ(医師及び看護師)に臨床検査に関するレクチャーをしたいと伝えると、それならミャンマーの病院スタッフにもレクチャーしてみませんかと打診され、このような機会はまずないと思いミャンマースタッフへのレクチャーのための渡航を決意しミャンマーに赴きました。その際のミャンマーでの活動について報告します。
※以下は2025年3月28日に発生したミャンマー大地震より以前に執筆したレポートです。

▼ミャンマースタッフへのレクチャー
ミャンマースタッフは医師4名、看護師8名が5日間にわたって私のレクチャーを受けました。今回はエコーに関するレクチャーが中心で腹部、心臓、甲状腺について講義及び実習を行いました。腹部、心臓、甲状腺ともまず私がデモンストレーションし、そして医師のみなさんにはプローブを握ってもらい各臓器へのアプローチ方法を習っていただきました。
今回のような系統だったアプローチ方法を習ったことがなかったとのことで熱心にみなさん実習をされていました。その様子を看護師のみなさんも見学しプローブの位置と臓器の関係を熱心に学んでいました。

ジャパンハート メディカルチーム 臨床検査技師

ジャパンハート メディカルチーム 臨床検査技師

実習後は私からのスライドレクチャーとして各臓器のアプローチ方法の確認と症例提示によりエコー検査の重要性を認識してもらいました。
今回の実践として施設入所のこどもたちへの腹部臓器の検診を兼ね、医師のみなさんにはレクチャー開始2日目まで腹部臓器へのアプローチ方法と所見用紙への記入に慣れてもらい、3日目には施設まで足を運びこどもたちへの腹部臓器の検診を行いました。看護師のみなさんの協力もあり30名近くのこどもたちの検診を1日で行えたことは医師のみなさんにとってたいへんいい経験になったと思いました。

レクチャー最終日はこれまで見学していた看護師さんにプローブを握ってもらい腹部及び甲状腺エコーを実習しました。午前中は腹部、午後は甲状腺とみなさん初めてで緊張していましたが、徐々にアプローチにも慣れアプローチ方法と臓器の位置関係を少しずつ理解したように思いました。空いた時間にはクロスマッチのスライドレクチャーも行いクロスマッチがとても煩雑な操作で時間がかかることも理解してもらいました。

ジャパンハート メディカルチーム 臨床検査技師

▼今後について
今回、エコー中心のレクチャーでしたが臨床検査にはたくさんの項目があります。そのうち実習可能なレクチャーは必要備品が欠かせず無ければ講義のみとなりイメージとして伝わりにくい点が課題として残ります。
今回クロスマッチについてはシミュレーションのための器具を用意し少しでもイメージが湧きやすいように準備しました。このようにレクチャーを受ける側に立って考え、いかに印象に残るレクチャーができるかを今後考えていきたいと思います。そして機会あれば今回のエコーの復習を兼ねもう一度ミャンマーを訪れ、医師、看護師さんに臨床検査の基礎をレクチャーできればと思っています。

ジャパンハート メディカルチーム 臨床検査技師

ジャパンハートこども医療センター
臨床検査技師
森 三郎