2020.06.03
自分で考えるしかないという状況を繰り返し経験することで学ぶ。
▼活動地での研修内容・経験したことを教えてください
〈国内研修〉
上五島病院、3階(産婦人科、小児科、女性混合病棟)にて看護師として活動。
看護師としての経験をつませていただきました。ここには、内科、外科、眼科、終末期、様々な診療科が混ざっていることもあり、沢山の疾患のケアを勉強させていただきました。
日によっては、助産師の人数が足りない時には、助産師の手伝いもしました。
1日ずつではありましたが、在宅とOPE室にも入らせていただきました。
〈海外研修〉
産褥新生児のケア、妊婦検診、OPE室、一人っ子(現地の病院に一人で滞在すること)がメインの活動です。
初めは産褥新生児のケアを中心に活動しました。医師がいない中で薬の選択をし、治療方針を決めて行うこともありました。現地の助産師の知識が低いため、助産師への教育もしながら日々のケアを行いました。また、開いた時間を使って隣接する病院の分娩に参加し、縫合の練習も行いました。
OPE室では、助産師としてだけでなく、小児癌の手術も含め手術室の看護師として活動しました。特に帝王切開の際には妊婦へのリスクなどを他の看護師に伝えることが必要でした。
一人っ子では2週間ほど現地の病院に滞在して、現地のスタッフと共に働き、分娩の介助、縫合も行います。
妊婦検診室では妊婦さんのエコー、NST、保健指導を行います。
▼ジャパンハートの研修に参加を決めた理由を教えてください。
助産師の経験しかなかったため、看護師の経験を含めた研修ができること。
自ら直接医療活動を行うことができる。
英語の知識のハードルが低い
▼参加までのハードルはありましたか。
自分の意思の持続と決定する勢い
▼価値観が違う現地の方々、また駐在している日本の医療者との活動で困ったこと、また工夫などありましたら教えてください。
カンボジア の人はとてもフレンドリーなので、仲良くなるのはそれほど難しくはないと思います。言語に関しては、英語ができるできないというよりも、相手と話そうとする思いが大切だと思います。現地の言葉も挨拶だけでも覚えるとスタッフ、患者さん共にコミュニケーションがしやすくなります。
患者さんに対する重要な説明などは、現地の日本語通訳の方もいるので、手伝ってもらえます。
▼現地医療の醍醐味は何ですか?
自分で考えるしかないという状況が必然的にあることです。目の前にいる妊産褥婦、赤ちゃんのために何が一番かを自分で考えるしかありません。そこには十分な機材もなく医師もいません。
カンボジア の人たちは感謝をとても素直に表してくれます。自分がしたことが患者さんにとってよかったということを感じることができます。
▼活動地での忘れられないエピソードがあれば教えてください。
産褥の入院で高血圧のお母さんが入院してきました。頭痛もあります。浮腫もひどいです。という状況でした。
この患者さんするべきことを考えます。マグネシウムの点滴を開始することを決めますが、今まで日本では既に希釈されたものを使っていたため、1g/H を作成する事から始まりますが、時間を要しました。
これまで日本で何度も見てきましたが、自分の焦りもあったのでしょうか、マグネシウムを使った時の注意点すらスムーズに出ません。
日本ではマグネシウムの血中濃度を測れますが、ここでは測れません。どうやって過剰になっていないかを判断するか、これもまたスムーズには出ません。これまでいかに検査値に頼っていたか人に頼ってきたかを思い知る経験でした。医師がいない中で行う事で、自分の知識の曖昧さを気づかされました。
そこに先輩助産師がいてくれ、私が考える事を促してくれたり、サポートしてくれました。研修をする中で、自分で考える場を与てくれ、でもしっかり支えてくれる人がいることはとてもありがたい環境だと思いました。
▼帰国後はどのような活動をされていますか?
現在はスタッフとして帰国せずカンボジアでの活動を継続しています。
ですが、実際に研修に来る時には、特に帰国後のことは考えていませんでした。理由としては、この研修でやりたいことが見つかるような気がしていたからです。そこで見つけた事をやりたいと思っていました。また、助産師の採用はたくさんあるので、あまり心配していなかったというのもあります。
▼後の参加者へのアドバイスと、参加を迷われている方へ一言お願いします。
まずは、やってみないと何も始まらないと私は思っています。
自分の人生設計の中で今時間を使うことができるのであれば、ぜひ自分のために時間を使ってみてください。ここで得られるものは一人一人違うと思いますが、経験は自分の引き出しになると思います。どんな経験も無駄にはなりませんよ。きっと。(個人的な意見です。。。)
西川美幸 様
経歴
看護師研修:上五島病院6ヶ月、 助産師研修:カンボジア1年
活動期間:研修生として1年6ヶ月、スタッフとして3ヶ月
助産師歴:8年目(研修参加時6年目)