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2月から7月までの半年間、山形県新庄市の徳洲会病院で勤務しました。

新庄徳洲会病院はケアミックス型病院として地域密着しており、急性期から慢性期、リハビリや療養といった幅広い分野の病棟があります。ADL維持や誤嚥性肺炎、尿路感染症といった慢性期で起こしやすい疾患予防のためにはどうすれば良いかを改めて考えるいい機会になりました。

そんな新庄徳洲会病院ですが、看護師として勤める中で一番感じたものは患者家族の温かさです。入院されている方の家族はほぼ毎日面会に来られ、患者さんも笑顔で会話されていました。ほぼ毎日来院されるため、次第に私たちも家族の方々を覚えていき、患者さんとその家族とのコミュニケーションを良く取れていました。

また看取り時期が近づくと家族は24時間付き添われ、残された時間を共に過ごされていました。それは同時に、家族が死を受け入れようとしている時間だったかもしれません。そんな家族の方々の姿を見て、入院中の患者にとっての家族の大切さ、家族にとっての患者さんの存在、そして私たちが出来る家族看護の大切さ、家族看護とは何かを考えさせられました。都心の総合病院で働いてきた私にとって、家族の温かさをとても感じられた半年間でした。

私生活では2月の雪生活から始まりました。いままで雪が積もる地域で生活したことがなく、また山形は車必須であったため、まず車回りの雪かきの方法から教わりました。同じ寮に住んでいる同僚の方が一から教えてくれて、一緒に駐車場やお互いの車の雪かきを朝出勤前、帰宅後に最低2回、毎日行いました。旅行ではなく、実際に降雪地域で生活してみないと体験できないような寒さや大変さ、またそれ以上の楽しさを経験できました。
家族に寄り添う看護を考えた日々 ― 山形・新庄での半年間
一面銀世界だった景色が、次第に雪が解け4月には桜が咲き、5月ごろから田植えが始まるとカエルの大合唱が聞こえ、6月には人生初めてのさくらんぼ狩りを経験し、徐々に苗が育ってセミの鳴き声が聞こえる7月にはスイカとメロンが店頭に並びました。こんなにも日本の四季を実感しながら過ごした時間は今までなく、自然豊かな東北、山形の新庄だったからこそ素晴らしい時間を過ごせたのだと思います。
家族に寄り添う看護を考えた日々 ― 山形・新庄での半年間
初めは日本の僻地医療への挑戦と不安があり、実際医療提供の考え方の難しさはありました。しかしそれ以上に新たな考え方や発見が多く、現地の方々の優しさや四季折々の体験は素晴らしく、振り返ればあっという間の半年でした。このような経験をさせてくださった新庄徳洲会病院、そしてジャパンハートに感謝を伝えたいです。ありがとうございました。
家族に寄り添う看護を考えた日々 ― 山形・新庄での半年間
看護師
井口優雅