VOICE
新病院立ち上げ応援の10日間~現地スタッフとともにつくったワークフロー
今回のカンボジア新病院オープンにあたり、お声がけいただき、10日間現地で活動させていただきました。私は普段、千葉県の診療所で外来と訪問診療に携わっている看護師です。
約3年前にジャパンハートの看護師研修(現メディカルチーム)として現地で活動していたこともあり、当時一緒に働いていたスタッフとの再会は、とても懐かしく、嬉しい時間でした。
今回現地入りしたのは、外来オープンの7日前。
準備期間は限られていましたが、スタッフの皆さんと一緒に、診療開始に向けたワークフローづくりに主に関わらせていただきました。
現場では、毎日ディスカッションを重ね、「まずやってみる→課題が見つかる→すぐ修正して次に活かす」というサイクルを繰り返す日々でした。

活発な議論のなかで印象的だったのは、現地スタッフから頻繁に聞こえた「ウドン(既存のジャパンハート医療センター)ではこうしていた」 という言葉でした。ウドンでの経験がスタッフ一人ひとりのなかに根づいており、その方法が自然と基準になっていることを強く感じました。
もちろん、一度決めた方法が翌日には変わることもありました。ただ、その都度「より良い方法は何か?」と前向きに考え、試し、修正し続けている姿勢がとても心地よく、力強いものでした。

また、カンボジアでは患者一人に使用した物品を把握するため、物品の動き(倉庫から各エリアへの配置)を管理する必要がありました。
日本では、患者さんに使用した注射器や針一本一本など、看護師が細かく把握していない病院がほとんどだと思います。そのため、私にとっては慣れない業務でしたが、目の前の患者さんや自分たちの行為に使われるものへ意識を向けることは、物を大切に使うという意味だけでなく、無駄なく運営していくうえでもとても重要だと感じました。
今回、私が関わらせていただいたのは、立ち上げのほんの一部分です。
しかし、これからこの病院が、医療の提供にとどまらず、現地の人々にとっての「よりどころ」となっていく場所になることを想像すると、その始まりの瞬間に立ち会えたことは、光栄であり、貴重な経験であったと改めて感じています。

看護師
田中佐季
