VOICE

■ 職種 看護師
■ 活動期間 2025年11月~2026年5月
■ 活動場所 国内活動:山形県新庄徳洲会病院、海外活動:カンボジア

Q1.参加前の率直な気持ちを教えてください。
 小さい頃から看護師として海外で活動してみたいという夢があった一方で、自分なんかにできることがあるのだろうかという気持ちも強く、ずっと迷っていました。とにかく自信がなくて、行動するまでに長い時間がかかってしまいました。

Q2.特に不安だったことを具体的に教えてください。
 自分が海外ボランティアに参加したとして、何か役に立てることがあるのかどうかが一番不安でした。ずっと同じ病院で働いていたので、自分の知識や技術がどの程度のものなのか、通用するのだろうかという不安もありました。参加が決まってからも、自分がいることで負担になってしまうようならすぐ帰ろう、と思っていました。
 他にも、ジャパンハートという団体がどういうものか、仕事を辞めたあと生活できるのか、自分の英語レベルで仕事が成り立つのか、初めての海外生活も不安で、不安をあげればきりがなかったです。
相手を知り、自分を知る――海外活動を通して変わった看護師としての在り方
Q3.その不安は、実際どうなりましたか?
 ジャパンハートという団体に限らず、どこに属するにしても中に入ってみないと実際のところはわからないと思います。
 わたしが驚いたことは、事前の研修やサポートをすごく丁寧にやってくれたことです。思考の整理方法や論理的思考法、事例検討などの実践的なものまで、すごく時間をかけてやっていただきました。精神面も含めて継続的にサポートしていただき、それがあったから、わたしでも1年間活動を続けられたのだと思っています。
 サポートについては国内活動中や、海外活動中も継続してくれましたし、現地(カンボジア)でも、神白先生はじめ日本人スタッフの方が近くにいてくれて、困ったことがあればすぐに相談にのってくれたり、対応してくれていたので、現地へ行ってからは、渡航前に感じていた不安はほとんどなくなりました。
 定期的に吉岡先生とお話しする時間があり、その際に、余計なことを考えずに自分を高めることを一生懸命やればいいということや、自分の性質を変えるのは難しいから、そのままで良いし、自分に合った努力を続けていくことが大事というような言葉をかけていただいたときに、あれこれ考えたり迷ったりしていたけど、まずは目の前のことを一生懸命やろうと、気持ちが整理されて前向きに考えられるようになりました。
 活動開始5カ月目頃に手術室勤務に変わりました。その後、新病院開院のため、スタッフが二手に分かれることになり、手術室看護師の人数が少なくなりました。手術室スタッフの一人として働いているだけですごく感謝をしてくれて、それだけでも少しは役に立てているのかもしれないと思えるようになり、少し気持ちが軽くなりました。
手術室の一員として活動している実感がわくと、より自分事として考えられるようになり、みんなのためにできることを考えてやっていきたいと自然と思えるようになりました。

Q4.印象に残っている出来事を一つ教えてください
 日々のカンボジア人スタッフとの関わりが印象に残っています。みんなで一丸となって手術!終わったらお昼ご飯を食べてお昼寝!しっかり休んで午後もしっかり働く!メリハリがあって、たくさんしゃべって、みんなで笑って、仕事が終わったらさっさと帰る!みたいな様子が、豪快で気持ちよくていいなーと感じていました。おおらかでさっぱりしていて、でも思い遣りや情もあって、カンボジア人スタッフの人柄に救われることも多かったです。
相手を知り、自分を知る――海外活動を通して変わった看護師としての在り方
 わたしが何気なく破棄したものや、日本では当たり前にごみとして捨てているものを見て、カンボジア人スタッフに「もったいない」と言われたことがありました。
「もったいない」は、本来、日本人が大切にしてきた感覚だと思います。でも、日本の病院や生活では使い捨てが当たり前になり、私自身、その感覚を忘れかけていたのだと気づきました。ジャパンハートでは、これまで関わってきた日本人スタッフが、カンボジア人スタッフに「もったいない」の精神を伝えてきたのだろうと思います。そして、その思いが今も受け継がれているのは、カンボジア人スタッフ自身も、寄付していただいた物品を大切に使い切ろうとしているからなのだと感じました。日本人が忘れかけている大切な感覚が、ジャパンハートには今も残っているのかもしれないと思いました。

Q5.活動を通して、自分の中で変わったことを教えてください。
 以前の私は、「患者さんにとってより良い看護とは何か」を考え、看護師として患者さんのことを一番にしたいと思っていました。活動を通して、それと同じくらい、一緒に働くスタッフが心身ともに健康で、安全に働けることも大切なのだと感じるようになりました。 勤務中にトラブルや問題が起きた時、誰かが傷ついたり、悲しい思いをしたりしないようにしたい、自分自身が失敗をしてつらい思いをした経験があったからこそ、同じ思いを誰かにさせたくない、その気持ちが、自分の行動の原動力になっていたのかなと気づきました。
 また、自分が何を大切にしているのか、何を大切にしたいのかを理解すると、それを具体的な言葉や行動として表せるようになるし、自分とは違う相手の価値観も、より受け入れやすくなるのかなと感じました。

 自分の考えや意見を人に伝えることや、行動することのハードルがさがったと感じます。自分にとってはジャパンハートに応募すること、もっと言うと説明会に参加することだけでも大きなハードルだったなと思います。最初の一歩がすごく大きくて、国内活動で他県で生活すること、カンボジアにきて活動することなんて遠すぎて見えなかったです。
でも活動を通して自分と向き合い、いろいろな人との出会いがあり、サポートをしてもらい、そうこうしているうちになんとかたどり着いて、そうしたら、次にやりたいことが出てきて、一歩踏み出すことで次の行動に繋がっていくのだということを実感しました。
 手術室スタッフと時間を過ごしていく中で、徐々に周りが見えるようになると、もっとこうしたらよくなるかもとか、これってどうなんだろうということが自然と出てきて、それをカンボジア人スタッフに話すと、良いアイディアだね!と言ってすぐに協力してくれたり、話しているうちにカンボジア人スタッフがもっといいアイディアを思いついてくれたり、そういうやりとりをしているうちに、自分の考えや意見を伝えることがこわいことから楽しいに少しずつ近づいていった気がします。
相手を知り、自分を知る――海外活動を通して変わった看護師としての在り方
Q6.なぜ“海外”で活動することに意味があったと思いますか?
 境界(国や宗教や言葉)なく看護できる自分でありたいと思って、そのための一歩でした。海外には漠然としたあこがれがあって、実際に行って自分がどう感じるかも知りたかった。あこがれが現実になってそれが日常になり、身近なものになりました。どこにいっても、患者さんを思ってケアする看護師の気持ちは同じだし、向上心や志をもって働いている仲間がいると思うと、自分ももっとがんばりたいと思うし、自分も人に対してそういう存在でありたいなと思いました。あとは、境界は自分が作っていただけではじめからなかったのかもと思いました。

Q7.参加を迷っている医療者へメッセージをお願いします。
 私も長い間迷っていたので、その間はホームページを気が済むまで読んだり、吉岡先生の本を読んだり、メディカルチーム募集の説明会や、メディカルチーム以外のジャパンハートが活動しているイベントに何回も参加したり、納得できるまでしていました。
特に、実際に経験した方のお話を聞くのは参考になるし、イメージもしやすいのでより具体的に考えられるようになると思います。何度も情報に触れたり、人の話を聞いたりしているうちに、少しずつ決心がつきました。

Q8.今回の活動を一言で表すと?
 すべてが大切な時間で、これからの自分を支えてくれる経験になったと思います。
相手を知り、自分を知る――海外活動を通して変わった看護師としての在り方
看護師
宮永