VOICE

「せっかく看護師の資格を取ったのに、このままでいいのだろうか。」
そう感じながら、病院で働いていた時期がありました。
看護師という仕事の幅広さに魅力を感じ、資格を取得した田中看護師。

病院だけではなく、もっとさまざまな場所で看護師として関わってみたい——そんな思いを持ちながら、ジャパンハートの海外活動へ参加しました。

カンボジアでの経験を通して感じたのは、環境が変わることで、自分の現在地や課題がより明確に見えるということでした。
できないことや分からないことがある中でも、「どうしたら前に進めるのか」を考え続ける。
その経験は、現在の地域医療の現場での働き方にもつながっているといいます。
現在は千葉県で、外来と訪問診療に携わる田中看護師。
海外での経験は、今の仕事にどのようにつながっているのでしょうか。
海外での経験は、今の仕事にどうつながっているのか   ――カンボジアで変わった、看護師としての向き合い方
Q1.今のお仕事について教えてください
現在は、地域医療の現場で外来と訪問診療に携わっています。
入職当初は、まず地域に馴染むことが目標でした。
一方で、患者さんが増え、組織も大きくなっていく中で、自分一人の動きだけではなく、現場全体がどう回るかを考えるようになりました。

Q2.なぜ海外へ行こうと思ったのでしょうか
東京の総合病院で働いていた頃、大きな不満があったわけではありません。
ただ、「このままでいいのかな」という感覚はずっとありました。どこか枠の中にいるような感覚で、それが年々強くなっていったんです。
もともと、看護師という職種の幅広さに魅力を感じて資格を取得しました。
病院だけではなく、さまざまな場所で活動できる仕事だと知っていたからこそ、「同じ場所に留まり続けること」に少しずつ違和感を持つようになっていたんだと思います。
そんな中で参加したジャパンハートの短期ボランティアでは、現地スタッフと自分との間に差を感じました。
ただ、それは「無理だ」「届かない」というより、「自分も近づいてみたい」と思える距離でした。
最終的には、やらずに後悔するくらいなら、一度挑戦してみようと思って決めました。

Q3.実際に現地へ行ってみて、何を感じましたか
最初の一週間は、不安も大きく、同期と一緒に泣いていたことを覚えています。
言語も違い、環境も整っていない中で、それまで自分が「できている」と感じていたことの多くが、実は周囲の環境に支えられていたのだと気づきました。
カンボジアでは、ごまかしが効きません。
だからこそ、自分の今の位置がすごく分かりやすかったんです。
そのときに、自分の無力さを感じました。
ただ、その感覚があったからこそ、「自分は何をしたいのか」「どうなりたいのか」を、本気で考え続けるようになったと思います。
今振り返ると、あの経験があったこそ、前に進むバネになっていたと感じています。
海外での経験は、今の仕事にどうつながっているのか   ――カンボジアで変わった、看護師としての向き合い方
Q4.海外での経験を通して、考え方に変化はありましたか
一番大きかったのは、考え方の変化です。
以前は、できないことや分からないことがあると、立ち止まってしまうこともありました。
でも、現地ではそれでは何も進みません。
どうしたら前に進めるのかを考え続けること。
一つずつ積み重ねながら進むしかありませんでした。

また、人との関わり方も変わりました。
以前は、「まず自分で何とかしなければ」という意識が強かったと思います。
でも今は、一人で抱え込むのではなく、周囲とつながりながら進んでいくことが、結果としてより良いケアや現場につながると感じています。

Q5. 海外での経験は、今の仕事にどうつながっていますか
現在の職場では、外来も訪問診療も未経験からのスタートでした。
覚えることも多く、うまくできないこともたくさんありました。
その中で、自分の行動が何につながっているのかを考えながら働くことの大切さを、改めて感じるようになりました。
カンボジアでの経験があったからこそ、分からないことやできないことがあっても、そこで立ち止まるのではなく、「じゃあどうするか」を考え続けられるようになったと思います。
また、未経験の環境に飛び込むことへの抵抗感も、以前より小さくなりました。
海外での経験は、今の仕事にどうつながっているのか   ――カンボジアで変わった、看護師としての向き合い方
Q6.今振り返って、この経験をどう捉えていますか
どこへ行っても必要になる考え方を学んだ経験だったと思っています。
器用さやスキルだけではなく、できない状況でも考え続けること、前に進み続けること。
そうした姿勢が、自分の中に残ったことが、とても大きかったです。
これから挑戦する方には、最初から何か特別なことをしようと気負いすぎなくてもいいと伝えたいです。
まずは、目の前のことを一つずつ積み重ねていくこと。
その先に、誰かの役に立つことがあるのだと思います。

おわりに
カンボジアでの経験について田中看護師は、「できない状況でも、考え続けながら前に進む姿勢が、自分の中に残った」と振り返ります。
現在は、地域医療の現場で外来や訪問診療に携わっています。
海外での経験は、特別な場所での出来事として終わるものではなく、その後の働き方や向き合い方にもつながっていました。
環境が変わっても、目の前のことを一つずつ積み重ねながら考え続けること。
カンボジアでの経験は、今の仕事にも確かにつながっています。

看護師
田中
海外での経験は、今の仕事にどうつながっているのか   ――カンボジアで変わった、看護師としての向き合い方
プロフィール
都内の総合病院・外科内科混合病棟で4年間勤務。
2020年にNPO法人ジャパンハートの国際看護師研修(現・メディカルチーム)に参加し、長崎県対馬病院、山梨市立牧丘病院、カンボジアにて臨床医療に従事。
2023年の帰国後は千葉県内の診療所に勤務。