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臨床検査技師活動報告㊲ ミャンマーへの2回目臨床検査レクチャー渡航について
▼はじめに
以前、臨床検査技師活動報告No.31で本年3月のミャンマー地震前の2月中旬に、カンボジアからミャンマーへの臨床検査レクチャー渡航したことはすでに報告しました。2月の渡航時にまたレクチャーに来てくださいとミャンマー駐在の団体スタッフよりお声がけいただいており具体的な日程も調整していた折にあの3月の地震があったため、2回目はもうないかと心配していましたが、被災したにも関わらずミャンマースタッフの強い希望もあり再度ミャンマーに赴き臨床検査レクチャーを実施することとなりました。今回はその様子について紹介したいと思います。
▼レクチャーの様子
日程は本年6/7(土)~10(火)までの4日間でレクチャー場所は前回同様のヤンゴン市内から車で40分程度離れた田舎にある団体の関連した病院の一角で行いました。
参加者は医師2名(今回は前回参加した医師4名の予定が被災地診療のため医師2名のみの参加)、看護師9名(3名は前回参加者で残り6名は今回初参加)の計11名で、内容は看護師さんに向けに腹部及び甲状腺エコーの実習、血液型及びクロスマッチ実習、そして新たに心電図の電極装着実習、心電図判読のための基礎レクチャー及び心電図判読練習を行いました。
▲心電図実習
4日間のうちの1日は養護施設に赴き前回同様検診を兼ねた腹部エコーと今回新たに甲状腺エコー実習を医師1名と看護師さん8名で約30名近くの子どもたちの検診を行いました。検診に関しては開始前に腹部エコーは所見用紙の記入の仕方、甲状腺エコーはアプローチの仕方と所見用紙の記入の仕方をレクチャーし2カ所で検診をスタートしました。2回目の検診ということもあって前回経験者はよりスムーズに、そして初回参加者は悪戦苦闘しながらも機器プローブを握ってエコー検査にトライしていました。
血液型及びクロスマッチ実習は事前にカンボジアから準備した試薬及び検体をミャンマーに持参し使用しましたが、保管状況が悪かったためか上手く反応しない血液型もありましたが操作自体は実習できたと思います。
▲クロスマッチ実習
心電図電極の装着実習は看護師さんみなさんに行っていただきそのコツと注意点についてレクチャーしました。また心電図判読において今回は心筋梗塞波形の判読を中心に、紙コップを用いて各誘導を紙コップに記入することで心筋梗塞場所をイメージしてもらいました。判読練習用心電図を作成し参加者全員に先ほどの紙コップを参考にしながら判読してもらい、その後心電図判読の解説を行うことで以前より心電図に興味を持ってもらえたのではないかと思いました。またカンボジアの病院で行った感染防止対策サーベイランス(調査)の報告を行い手洗い操作と正しい手技徹底の重要性をレクチャーしました。
▲腹部エコー検診
▼おわりに
今回2回目の臨床検査レクチャーということで前回の復習と新たに心電図実習及び波形判読は参加した看護師さんにとってたいへん有用であったと思いました。医師2名の手伝いもあり私の説明不足の点はミャンマー語で看護師さんへの説明をしていただいたことはたいへん助かりました。
今回は基礎的なことが多く医師にとっては少し物足りない点があったかもしれません。もし次回臨床検査レクチャーをする機会があれば医師向けのアドバンスレクチャーも織り交ぜ少しでも日々の臨床に役立ててほしいと思いました。
ジャパンハートこども医療センター
臨床検査技師
森 三郎