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アジア開発途上国、日本の離島・へき地で活躍するメディカルチームの
看護師・助産師たちの葛藤や感動、日々の出来事を綴ったブログ

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看護師

2023.10.03

初めての小児看護~ミャンマーでの経験~その1

こんにちは、ミャンマー・ワッチェ慈善病院にきて4ヶ月が経過しました。

ミャンマー人と生活をともにし、拙いミャンマー語を使いながら患者さんと関わる姿は4ヶ月前の自分には想像していなかったことです。

ここでは毎日規則正しい生活を送っています。1日の始まりは毎朝6時半からの掃除、7時のラジオ体操から始まります。

朝ごはんの担当は6時ごろから起きて作り始めます。ミャンマー人の作る料理はどれも美味しくついご飯が進みます。ここにきて朝ごはんをしっかり食べるようになりました。

先日スタッフの誕生日パーティーを行いました

今、生後2ヶ月の脳髄膜瘤の乳児を受け持っています。
生まれた時から脳組織が頭蓋外に脱出しており、どの病院でもリスクが高く手術が受けられずここワッチェ慈善病院にやってきました。

私は日本での小児経験がなく、さらに日本でも珍しい疾患なこともあり、術前から不安な毎日でした。でもお母さん、お父さんはもっと不安なはず。そんな不安をかき消してくれるように、赤ちゃんは色々な仕草や表情で私たちを笑顔にさせてくれます。

術後の感染を少しでも減らせるように、毎日イエチョー(水浴び)で皮膚を綺麗にし、術後に使う輸液ポンプの作動確認を行い、使い方をスタッフへ指導。起こりうる合併症に対してみんなで勉強会を開いて、急変時に必要な物品などを準備し手術をむかえました。

水浴びの様子

術前のミルクを飲む様子

手術をしても術後の合併症などで亡くなるリスクも高い。そのような状態でした。
脳組織が脱出している状態で、麻痺の症状もなく元気に2ヶ月生きてきた。吉岡先生が「この子は運のいい子だから」と優しく家族に声をかけている姿がとても印象的でした。

日本の脳外科の先生と繋いでオンラインミーティングも行いました。

今ミャンマーでは医療が適切に受けられない方々が多くいます。日本とミャンマー。
国は違うけれど一人の患者さんのためにできることを考え、一丸となって最善を尽くす動きに患者さんが安心して医療が受けられることが当たり前ではないことに気付かされました。

術後1日目は発熱と痙攣があり家族もスタッフも不安な日々でした。
そんな不安はよそに赤ちゃんは術翌日からミルクを元気よく飲み始めました。そんな愛くるしい姿にスタッフも家族も安堵しました。

本当にこの子はすごい。

生命力を感じ、医学では説明できない出来事に驚きました。両親のミルクをあげている表情、おしめを変えている表情、寝顔を眺めている表情、、一つ一つの出来事が当たり前ではないこと、
そして何よりもお母さんがお母さんとしてできる時間が増えたこと。かけがえのない時間だと思います。

お母さんが「この子は手術前は泣くことがなかったのに、今はよく泣くようになって、表情が増えた。目もキョロキョロするようになった」と嬉しそうに話していました。

この先のことは誰にも分からないけれど、両親はこの瞬間を今後忘れないだろうし、そして少しでもその瞬間・出来事を心に刻むことができるよう関わりたいなと思いました。

その2に続く・・・

60期 Y

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