活動レポート

ジャパンハートはアジア3カ国と、大規模災害などで無償で医療支援をしています。

カンボジア

2019.02.01

「医療の原点」長期ボランティア医師 浅井 慎平

参加する前は長期に渡って海外に行くことに不安を覚えていましたが、終わってみればあっという間の5か月間でした。それくらい充実した時間でした。
そしてカンボジアでの5か月間は自分にとってとても大きな財産となりました。

もとをたどれば僕が初めてカンボジアにきたのは3年前の夏でした。
その時はまだ病院は建ってなく、当時自分はモバイル診療に参加させてもらいました。当時受けた衝撃は未だに残っています。

何十年も放ったらかしの腫瘍を持つおじいちゃん
目の前で痙攣を起こす若者
不安定狭心症を疑う患者さん
日本だったら救えたのではないか、と思う患者さんがとても多かったのです。

当時エコーもレントゲンも心電図も血液検査もなにも検査できず、しかも治療手段もほとんど限定されている状況下で、自分の拙い問診と身体所見で、本当に手探りで診療してこの人たちに自分はなにができたのだろうと無力感とともに帰国したことを覚えています。

そして日本とカンボジアの医療格差に衝撃を受けました。同時に、高度な技術があっても患者さんが置き去りになっていることが多い日本の医療の在り方にも疑問を持つようになりました。
帰国してからずっと医療の正しい在り方ってなんだろう、と疑問に感じていて、その答えに近づける気がしてまたいつかカンボジアに行こうと思っていました。

そして今回3年ぶりにまた行くことができました。
今回の医療活動を開始して真っ先に感じたこと、それはモバイル診療の時とはやれることが大きく変わっていたことです。検査器具や治療薬がある程度揃っている。モバイル診療の時に治療できなかった人がこの病院では治療できる、ということに感動しました。

しかし、当然日本に比べればまだまだ不十分です。これは医療レベルだけのことではなく、保険制度や福祉制度など広い視点でみた場合にも、遅れていると言わざるを得ません。

心筋梗塞の患者さん、カテーテル治療のために搬送しましたが、病院間の距離もあり長い時間をかけて搬送、搬送後も現地の医師に切迫感はなく急いで治療をしようという気配はありませんでした。

脳性麻痺の子ども、カンボジアにはまだまだ理学療法という概念があまり普及しておらず、運動機能は落ちていくばかり。カンボジアでも障害児をみる機会が何度かありましたが当然福祉制度は整っていません。

フルニエ壊疽の患者さん、すぐにでも搬送が必要な状態でしたが金銭面の問題で搬送を拒否されました。
これも日本では考えられない状況だと思います。

まだまだ発展していく必要性を感じました。ただ、その一方で、なんのための発展なのか、ということを考えることはとても大事なことだと感じています。

先進国では治療できるけどカンボジアではそもそも治療できない、というシチュエーションに多く遭遇したために、逆にどういった選択肢が患者さんにとって幸せとなるのか、ということを考える機会が多かったです。
恥ずかしい話、日本で働いているときは深く意識していなかったことでした。

医療は、病気を治すため、ではなく、患者さんが幸せになるため、に存在しているのだと思います。
 
極論、検査器具も薬もなくても、患者さんに寄り添える医療者がいれば、豊かな医療は提供できるのかもしれません。そういった意味で言えば、ジャパンハートこども医療センターでの医療はとても豊かな医療でした。
不十分な医療設備のなかでいつも患者さんに寄り添った医療を提供していました。この病院での活動で僕は医療の原点を感じられたと思っています。

自分はまた日本で医師として働き始めるのですが、医療者としての原点はどこで働いても一緒だと思います。
この活動で感じることができた医療の原点、これをいつまでも大事にして医療者として患者さんを癒し続けていきたいと思います。

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